今回の話題はDNAシーケンサです。これは、DNAの塩基配列を自動で分析する装置です。
この装置の登場で、DNAの解析が大量かつ高速に行えるようになりました。今回の分類、
分析の母集団はDNAシーケンサという用語を明細書中に含む米国特許が対象です。
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まず、全体的な傾向を見ていきます。
権利者別集計で件数が多いのは、アボット研究所、味の素、American Cynamid社、アムジェン、テキサス大学、コンノート研究所、コーネル研究財団、Diversa社、フジサワ薬品、Heska社、日立、Hoffmann-La Roche 、Human Genome Sciences社、Incyte Pharmaceuticals社、麒麟ビール、協和発酵、Novo Nordisk などがあります。
その中でも特に目立つのは
●Human Genome Sciences社:特に1995年に技術起源をもつものに集中しています。DNA、成長因子、タンパク質に関連した特許が目立ちます。
●Incyte Pharmaceuticals, Inc.:ここも特に1995年に技術起源をもつ特許が多いです。この年前後に、熾烈な開発競争が繰り広げられたのでしょうか?
●Novo Nordisk A/S:この企業の特許は1992年ごろを起源とするものからゆっくりと立ち上がっています。DNA、遺伝子コーディング関係が多いように見受けられます。
●パーキンエルマー社:分子プローブ関係、DNAシーケンスの方法、電気泳動法のためのポリマー、試薬(染料)関係が目立ちます。
次に筆頭米国分類別集計を見て行きたいと思います。今回は、半導体、ナノテクとは離れ、米国分類800番台にあるトランスジェニックアニマル=遺伝子導入生物を見ていきたいと思います。
これは、俗に言う「遺伝子操作生物」のことで、米国では、人間以外の全ての遺伝子操作生物そのものがが特許として認められます。
800/14(哺乳類)のところを見ていくと、特許の名称として「Transgenic non-human mammals producing 。。。」という具合に、題名に、。。。を生産する「人間以外の生物」というものがでてきたりします。その他、800/18ねずみの項目では、「。。。トランスジェニックマウス」という具合に、「え、本当にねずみが特許になっている!?」ってものが現れます。分類項目800/21は、METHOD OF MAKING A TRANSGENIC NONHUMAN ANIMAL.(トランスジェニックの人間以外の動物を作る方法。) となっており、ここには豚の特許があったりします。800/301という項目では、「ミュータント」という言葉が現れ、まるでSFの世界を見ているようでもあります。
次に、優先年vs成立年集計を見ていきたいと思います。特許対策をほどこすと、特許は分割されどんどん増えていきます。この時、縦軸に優先年をとり、横軸に成立年を取ったときに、特許対策を行っているときに、横方向に集計が伸びて行きます。この性質を用いると、重要な技術がいつ頃、どういう企業によって生み出されたのかということを推定することができます。
ざっと見ていきますと、1984年、1986年に特徴的な動きが見えます。
1984年に技術起源をもつものとしては、カリフォルニア工科大学とLi-Cor社のDNAシーケンスに関する特許があります。
1986年に技術起源をもつものとしては、デュポン社の試薬関係が目を引きます。
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探検隊長より
いやー、ナノテクもすごいですが、バイオ(DNA関係)の世界も、SFしています。あと10年、20年したら、
本当にSFの世界に生活しているんではないだろうかと実感します。その時、それは、
F(Fiction)から(Project-)Xの世界になるのでしょうか?20年後のProject-Xが楽しみです。
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