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利用イメージお話(1):フィクションです。
  サンノゼリエゾンオフィス勤務。仮名:谷川啓介の場合。
                     作:門伝也

 啓介はくさっていた。
つまらない仕事ばかりだ。日本からやってくるシリコンバレーめぐりの相手ばかりじゃないか。
これじゃ、ツアコンと変わりはしない。

ところがだ!
日本にいる上司である常磐井(ときわい)は、何かいい提案をして、
サンノゼにリエゾンオフィスを作った成果を見せてくれ。

と気楽!に言ってくれる。

大きな誤解があるんじゃないか?
サンノゼに秋葉原みたいなところがあって、
そこにはオタクみたいだけど優秀なエンジニアがいて、
カフェに集まっては、新しい技術やビジネスについてわいわいとやっている。
そこに行って聞き耳をたてていれば、新規ビジネスに出くわす。
リエゾンオフィスを提案したヤツはきっとそんなイメージだったに違いない。

それにきっとバレーというからには狭い場所で歩いて行き来ができるって思っているに違いない。
(恥ずかしながら啓介もサンノゼやってきて、どこが谷なんだー?思った一人だ。)

 さーて、いったい何をどうするか? 気楽と言えば気楽だが、この自由は意外とプレッシャーだ。
赴任期間は2年と短い。まとまったものを仕上げるには短すぎるし、
たいした成果なく帰国するには長すぎる。微妙だ。

 企業に飛び込みで行っても相手にしてくれる訳もない。気分を変えるために、
まずは大学めぐりをしてみるか。 でも、いったいどこへ?

 現地従業員であるジョンに聞いてみたが、自分の出身校の出身学部くらいしか思いつかないらしい。
意外とネットワーキングがへたなのか? 
ジョンは、前任者のそのまた前任者の前任者に雇われて以来8年、
このリエゾンオフィスを守っている。
いや、正確には、2、3年で交代する日本からの駐在員のお守りをしているわけだ。
性格はおっとりしていて、保護者的だ。
 長年に渡ってリエゾンオフィスにいるだけはある。日本人の扱いに慣れている。
でも、裏を返すと、現地のネットワークが枯れてしまっているようだ。彼を責めても仕方がない。

 日本からはるばるシリコンバレーの現地企業に採用されたエンジニアと、
駐在で来ている我々との間には妙な距離感がある。帰るところと、帰る時期が決まっているものと、
解雇される恐れがあって、そうなればVISAまで失う者たちの違いか。
そんなこんなで現地の日本人にも相談に乗ってくれる人はいない。あーーあ。

 啓介も元々、人付き合いが苦手だ。何で来たいと手を上げたんだろうと、最近、時々思う。
ネットワークネットワーク。。。。。お悩み中。。。だ。

 ここのところ
 日本では「事業仕分け」が騒がしいようだ。
啓介のオフィスも仕分けの対象になるのだろうか? 
そうなったら帰国できるが、何の成果もなく帰国するのは、あまりにも悲しい。
何が「科学技術立国」だ。誰も信じてはいない、妄想、夢のたぐいじゃないのか?

 意識するともなくGOOGLEで「科学技術立国」と検索していた。
小泉元首相の名前がはいった文献とかがヒットしていた。
ふと、右側のスポンサー欄を見ると、
科学技術立国に責任のある
人に贈る。大学米国特許調査。
日本は大丈夫なのか?
www.cerbonics.net」
とあった。

日本はダイジョウブじゃないよなーー、と広告をクリックした。

セルボニクスの電子書籍 「大学米国特許調査:univ_2009_pro」にご興味をお持ちいただきありがとうございます。
うーーむ。別に興味を持ったわけじゃないけどなー。

監修、編:門 伝也(もん でんや)
とある。下線をクリックすると彼のブログが出てきた。

ふーーん。米国特許調査をネタにブログとかに記事を書いているようだ。
大学米国特許調査をネタにしたエントリーもあった。

 大学特許を見て、世界の頭脳が考えていることを共有し、自らの企業の得意分野と組み合わせると、どうなるかを考えたら?!
っていう提案のようだ。
 そうかもしれない。。。
と啓介は、とりあえず発注してみた。
海外からの支払いはPAYPALのみで、形態はダウンロード販売のみになるらしい。

 注文と支払いのやりとりを何度か行った後、PDFファイルを入手した。
6分野、合計12本ほどのPDFファイルをダウンロードできた。
説明書を見ると、データはハイパーリンクの塊りになっているらしい。
とにかく、下線部をクリックしろと書いてある。
ずいぶん乱暴な説明だなと思いながらクリックしていくと、なんだか慣れてきた。
統計的な情報とアブストラクトの間をいったりきたりできるので、ついつい没頭してしまう。
機械翻訳がついているので、さくっと見るにはいい。
翻訳がおかしければ、左側に原文がある対訳になっているので、そちらを見ればいい。

 さーてと、これは米国以外の国の間の比較のデータか。。。。
なーーなんだこれは、遺伝子関係で日本はイスラエルに負けているのか?! まー件数ではあるのだが。。。
主要大学の比較の中に日本の大学は全くないじゃないか?でもまー英語が母国語の方が強いよね。
それにしても、オールジャパンで米国の大学ひとつにもかなわないってのか?
これだけ、特許訴訟の話がニュースになっているのに。大学もお金がないのか、やる気がないのか。
やっぱり、論文しか目に入らないのだろうか?でも、まー、米国特許だしねー。
日本の特許はがんがんに成立させているんだろう、きっと!?

 つらつら、このPDFサーフィンをやっているうちに、気になる技術分野が見えてきた。
啓介の専門ではないが、啓介の専門分野との間に面白いテーマが眠っているようだ。
この大学のこの人たちのチームか。。。
大学のホームページを見ながら、啓介は、まずは、このチームにアポを取って話を聞きに行ってみようと決めた。
なにやら、わくわくしてくる。それなりの成果を上げて帰国できるんじゃないかという予感があった。。。。

車で飛ばせば小一時間だ。行くぞ!

<<続くかも。。。。>>
注:これはフィクションです。

作:門 伝也(もん でんや)

続きなどはPDF文庫で



 



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2009.12.11 Fri l 大学特許 l コメント (0) トラックバック (0) l top


 2008年成立の大学特許のうち、バイオ、化学、医療関係を見てみよう。「バイオとか分からないよー」と言われる方もしばし、お付き合い願いたい。
 新しい技術は境界領域に生まれる。バイオとコンピュータの間の境界は、バイオインフォマティクスだろう。コンピュータを駆使して、たんぱく質やDNAを分析して、新薬合成の参考にしようとするあれだ。

 米国特許分類で700番台がコンピュータ絡みだ。
「生物学的なネットワークをシミュレートするための自動手段。」
なる特許に出くわす。
 最近のバイオの世界では、「システムバイオ」な話がホット。これもその関係だ。
 生き物をシステムとして見ていこうという流れだ。
 例えば発生の世界では、遺伝子内のある部分のスイッチが入って、それが起動されることで、また、別の部分のスイッチが入るという仕組みがよくあるらしい。これを矢印でつないでいくと、まさにネットワークになるわけだ。これを解析しようというプログラム(アルゴリズム)特許のようだ。

 別の特許を見てみよう。
「カスタマイズされた医療器具をデザインするためのシミュレーションの方法」のような特許もある。
まさにVRの中で、新しい医療器具を試してみようという話のようだ。
 医療関係は今後の成長分野であることは間違いはない。
そこにはIT関係の技術が入り込める余地は大きい。
特許を見て、世界の頭脳が考えていることを共有し、自らの企業の得意分野と組み合わせると、どうなるかを考えることは、エンジニアとしてとても楽しい作業であると思う。

(続く)
門 伝也(もん でんや)
ブログサイトにも載せました。
続きなどはPDF文庫で





2009.10.06 Tue l 大学特許 l コメント (0) トラックバック (0) l top

 工科大学、大学の米国特許調査を行っている。
総母集団が5万件を超える大物の調査だ。
あまりに大きく、広い分野に渡るので、米国分類を用いて

群1:バイオ、化学、医療
群2:材料
群3:計測、電気
群4:コンピュータ、通信
群5:半導体
の5つの分野に分けて見て行っている。

 全体の傾向としては、誰もが知っている米国有力大学が4校、いずれの分野にも入っている。それに加えて、分野に応じて、1校か、2校、それらの4校に食い入る形で存在感のある大学がある。

 さて、米国特許なんだから、米国の大学が上位を占めていてあたりまえ。
誰もがそう思うだろう。それはその通りで、実際にそうなっている。そこで、米国以外の大学の米国特許の取得状況も国別に整理している。
 それを見ると、いずれの分野においても、母国語が英語の国が強い。
言語の壁は存在すると感じる。英語圏の国を除くと、日本はそれほど悪いポジションではない。しかし、極端に強いとも思えない。
 例えば、群1:バイオ、化学、医療の分野では、イスラエルが日本の強力なライバルと言えそうだ。
 群2:材料関係では、日本のポジションは非英語圏では高いと言える。
嬉しいことだ。
 群4:コンピュータ通信分野における、非英語圏ライバル国は、韓国台湾だ。韓国の大学関係特許は、多重通信分野で件数的に日本を引き離している。台湾のそれは、光ファイバー関係で日本を追い上げている。
 群5:半導体分野での日本のライバルはやはり台湾だ。ただ、その戦いの舞台は、企業が主戦場とするシリコン半導体ではなく、化合物半導体や、光デバイスであるようだ。
 最後に番外編としてナノテクノロジーについても調べている。
これは、米国分類の大分類に977:ナノテクノロジーというのがあり、この分類項目に属する特許に関するものだ。
 それを見ると、件数的な日本の非英語圏ライバルは台湾や中国だ。
日本は、スキャン型顕微鏡が目立つのだが、中国勢は、カーボンナノチューブに関するものが多い。ポストシリコン研究だろうか?

続く

門 伝也(もん でんや)
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続きなどはPDF文庫で





2009.09.14 Mon l 大学特許 l コメント (0) トラックバック (0) l top