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 俗に言うSemiconductor-Xを探そうというシリーズだ。

 筆者がかつて属していた日本半導体業界は今や、斜陽産業と言ってもいい状況かもしれない。
多くの企業が工場を手放し、ファブレス路線を取ろうとしている。
そのため多くの優秀なプロセスエンジニア達が行き場を失いつつある。
自分の経験や知識、知恵を伝えようにも伝える相手が国内にいない。

 プロセスエンジニア向けの大きなテーマとしては、
1:脱シリコン
2:+X
の二つがあるように思える。
1つめは、有機半導体など脱シリコンの流れだ。
そして二つ目は、シリコン以外の物質や構造とシリコン半導体の融合だ。
(さらに遠い未来では、1と2が合体しているかもしれない。)

 本シリーズは2の+X路線を探るものだ。
手がかりは大学特許だ。
大学の先生は、学会活動などを通して視野が広い。
好奇心が知恵の源泉であり、新規でなければ研究テーマにならない。
そういった人たちが半導体X的に何を考えているかを探る。
 用いる資料は、筆者が編集に参加している、「大学米国特許調査2009」だ。

 さて、「大学米国特許調査2009」では、6つの分野に分けて、分類集計を行っている。
バイオ、化学、医療系。
計測、電気系。
コンピュータ通信系。
素材系。
半導体系。
ナノテクノロジー系。
の6つだ。
今回は半導体系の資料を用いる。
Xとして、化学を見てみよう。
すなわち、「半導体ー化学」デバイスを大学特許に探してみようという訳だ。
この資料では、特許的有力大学が米国分類からみて、どういう分野にどういう特許を持っているかが一目でわかり、なおかつその詳細情報にハイパーリンクを使って容易にアクセスできるようにしている。
すなわち、森(全体)と木(詳細)の間を容易に行ったり来たりできるわけだ。

 資料の米国分類CCL=204:化学を見てみよう。
M大学は、20件の特許の譲受人(特許成立時の保有者)になっている。その20という数字をクリックすると特許リストが現れる。
分子ベースマイクロデバイス的名称を持つ特許が並んでいる。
デバイスの中で化学変化がおきるのだろうか?
特許番号をクリックすると、書誌情報が現れさらにアブストラクトをクリックすると、アブストラクトが現れる。
左側に英文。右側に機械翻訳だが日本語がある。
ざっくざっくと見ていく場合には、日本語がありがたい。
"The properties of these devices can be controlled by molecular-level changes in electroactive plymer components."
と記載されている。
しかも、
ダイオード、トランジスターなどを含んでいるとある。
ここまでたったの4クリックだ。
図面を見ると分子式がある。

やった。半導体Xをひとつ見つけた

 さて、ここからは優秀な日本の半導体デバイス、プロセスエンジニアの出番だ。
湿度、温度による劣化がないか?
温度変化によるストレスで、ケミカル層がおかしなことにならないか?
などなど、色々と気になってくる。
さらに、回路技術者には
周辺回路技術に必要なものは何か?
という疑問がわくはずだ。

 ここで提案をしたい。
半導体Xを探し、その実現に必要な技術に関する特許ブレーンストームを行って欲しい。
これは、かつて企業で半導体エンジニアであった筆者からの心からのお願いだ。きっと未来につながる

 優秀なエンジニアを抱えながら、彼らにリストラにおびえ定年を待つだけの人生を与えることは社会的な損失だ

 経営陣の英断を期待する。

おまけ。
1:動画も投稿している。
http://www.youtube.com/watch?v=THbPE-nF1A0&feature=channel

2:ブログ読者には特別にこのURLをお知らせする。
先ほど見つけた半導体Xの図面があるGOOGLE PATENTSへのURLだ。



門 伝也(もん でんや)
ブログサイトにも載せました。

"univ_2009_pro" ここをクリック。
   ブレストの役にきっとたつ。


続きなどはPDF文庫で








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2009.11.02 Mon l semiX l コメント (0) トラックバック (0) l top