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独立行政法人 情報通信研究機構 理事 松島裕一氏の公演を聴講させていただく機会があった。

http://www.kuee.kyoto-u.ac.jp/gcoe/gakujyutu/colloquium091211.html

 公演は多肢に渡り、2時間近くあった。
ここでは、かいつまんで印象が深かったものを紹介していく。

 まずは、「えっ!」と思わず声を上げてしまったそれから。
動画を見せていただいた。
画面の中には、たよりなさげに置かれた黒い線。
その近くには、画面のスケールを示すために、CDケースが置かれている。
そして一瞬の後に、パチパチと音がするがごとくに、
火花が黒い線をたどって左から右に、弧を描く、走る。
再度、動画を再生。

なんと、この黒い線は光ファイバーなのだ。
公演者は続ける。
「光は一秒間に地球を七回り半します。見ているもの(火花)はもちろん光ではありません。」
なんと、その火花は、光ファイバーの真ん中の光を通すコアと呼ばれる部分が燃え落ちている断末の光なのだ。
ファイバーフェーズ現象というらしい。

 インターネットの幹線は光ファイバー網だ。
この光ファイバー網は、光ファイバーそのものと中継などを行うノードで成り立っている。
そして、この光ファイバーそのものも、ノードも、もうそろそろ技術的限界に達してきている。

 光ファイバーの限界のひとつがこのファイバーフェーズ現象と呼ばれる発火現象だ。
ファイバー中のエネルギー密度がファイバーの媒体の限界に近づいていて、
ちょとした傷などがあると、そこから一気に不安定になって、火を噴き、それが連鎖的に伝播する。
それが先ほどのねずみ花火のようになるのだ。

 他方、ノードの限界は光情報を電気に変換して電子回路で仕分け増幅を行うところに由来する。
電子回路の消費電力が爆発するのだ。
トラフィックのニーズを考えると、
なんと、2050年には原子力発電所20基分の電力がこの光ファイバー網のノードの電力として必要になる。
本当?!という数字だ。

 光ファイバー、ノードともに研究開発が進められている。
ファイバーの開発のポイントは3Mだそうだ。
マルチレベル、マルチコア、マルチモードの3つのMだ。
 マルチレベルは有線通信の場合のように、
送るべき情報を単純な光の1、0だけではなくて、光強度や位相も組み合わせたシンボルに割り当てて送信する。
これで、シンボルあたりのエネルギーを節約しようという発想だ。
 マルチコアは、現在、一本の光ファイバーは、光を通す領域であるコアの数がひとつなのだが、
それを10倍とかにしようとするものだ。変な例えだが、現在のファイバーはホースのように真ん中に水が通るところが
ひとつしかないがそれをレンコンのように穴がたくさんあるものにしようというわけだ。

 マルチモードは多くの光波長を使って同時に通信しようというものだ。

 さてノードの方の課題は、結局は半導体の消費電力の削減という話になってしまう。
筆者は半導体の設計に携わっていたが、その時の記憶では、
消費電力の低減と高速化は常にトレードオフの関係にあって、なかなかいい答えがない。
あったとしても、若干のレベルだ。飛躍的な半導体の消費電力の低減は非常に苦しいと筆者は思う。
 
 公演者が期待されているのは、ALL光でノードを構成するということだそうだ。
そのときにネックになるのは光RAMだ。光で書き込み、光で情報を保持し、光で情報を読み出す。
また光で構成するルックアップテーブルもルーターには必須になる。

 20年前、光コンピュータ研究の時代があった。
光は電子よりも速いから高速演算ができるだろうという素朴な発想で始った研究だそうだ。
でも、挫折した。その大きな要因はRAMができなかったということだ。
 公演者は「物理限界を超えるものは物理だ。ALL光でノードを構成できるデバイスを考えて欲しい。」と
聴講していた若きデバイス研究者たちにエールを送っていた。

 面白いお話も聞いた。忘年会の2次会などで、受けるかもしれない。
光ケーブル網のノードは電力が必要だ。地上のファイバー網の場合は、数十KMも走れば街があるので電力はある。
では、日米の海底ケーブルの場合はどうするでしょう?という話だ。
 答えは、両側から供給する。日本側から+2万ボルト、米国側からー2万ボルト。
そしてその真ん中をアースする。これが電力供給の方法らしい。なんともダイナミックだ。
そうやって、作られたファイバー網の中を、我々がGOOGLを使うときの、検索キーワードが飛んでいくのだ。
これから、検索をかけるときには、太平洋のど真ん中を走るファイバー網に感謝しよう。
 
 公演ではそのほかテラヘルツ波による地球環境の観測の話などわくわくするものが色々とあった。
残念だが、ここでは割愛させていただく。
なお、下記に示す機構のホームページにも色々な情報があるのでぜひ、見ていただきたい。


 さて、筆者の米国特許調査ネタも仕入れた。
光ファイバーの研究者達が「再び我々の時代がやってきた」と張り切っているそうだ。
これは面白い調査対象になりそうだ。しかも起源が古い技術は米国分類がしっかりしていて調査がやりやすい。

 また、税金が投入されている研究所のアウトプットとしての特許を調査することも意味がある。
情報通信研究機構のホームページ
http://www.nict.go.jp/
を見ると、
研究成果の公開システム
http://koukai.nict.go.jp/jp/seek.do?mode=1&query=6
というのがあって、成立特許について調べることができる。
言語として英語にチェックを入れると米国特許がヒットする。
ここまで情報公開が進んでいる組織も貴重だ。

この公開情報と見比べながら、筆者も独自の調査を行ってみようと考えている。

お楽しみに。


最後に、公演聴講の機会を与えていただいた、京都大学グローバルCOEプログラム関係者に感謝いたします。

門 伝也 (もん でんや)

ブログサイトにも載せました。

続きなどはPDF文庫で




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2009.12.13 Sun l 独立行政法人 l コメント (2) トラックバック (0) l top
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