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 さて、前回の続きです。
ロボット大好きのA君は、
CCL/706/13 and ACN/JP and APD/20010101->20071231
という検索式で、注目する特許を検索しました。
Genetic algorithmという米国分類に入っていて、権利者が日本企業で、出願が21世紀になってからのものです。
A君は、この中に、面白い仕事をさせてくれそうな就職先がないかなーと期待しています。
リストは下記の15件です。これらを読んでいこうと思っています。
PAT. NO. Title
1 7,328,193 Summary evaluation apparatus and method, and computer-readable recording medium in which summary evaluation program is recorded
2 7,243,086 Methods and systems for automatically generating provably correct computer program code
3 7,167,847 DNA computer and a computation method using the same
4 7,103,447 Robot apparatus, and behavior controlling method for robot apparatus
5 6,993,672 Timing adjustment of clock signals in a digital circuit
6 6,980,974 Method for processing expression data of genes
7 6,950,712 System and method for nonlinear dynamic control based on soft computing with discrete constraints
8 6,910,030 Adaptive search method in feature vector space
9 6,907,312 Method and apparatus for automatically producing a machining program
10 6,886,003 Method for controlling machine with control module optimized by improved evolutionary computing
11 6,745,130 Genetic motif extracting and processing apparatus, genetic motif extracting and processing method, and recording medium recorded with genetic motif extracting and processing program
12 6,675,126 Method, computer program, and storage medium for estimating randomness of function of representative value of random variable by the use of gradient of same function
13 6,627,900 Methods, based on a genetic algorithm, for configuring parameters of an array of multiple components for cooperative operation to achieve a desired performance result
14 6,470,237 Robot having a body unit and plural component units connected thereto
15 6,438,457 Storage medium, robot, information processing device and electronic pet system

 まずは、企業名を拾っていってみようかな。とA君は書き出してみました。
上記の順で、
1:National Institute of Information
2:Fuji Xerox
3:Fujitsu Limited
4:Sony Corporation
5:Agency of Industrial Science & Technology
6:Nagoya Industrial Science Research Institute
7:Yamaha Hatsudoki Kabushiki Kaisha
8:Samsung Electronics Co., Ltd.
9:Citizen Watch Co., Ltd
10:Yamaha Hatsudoki Kabushiki Kaisha
11:Fujitsu Limted
12:Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho
13:Nikon Corporation
14:Sony Corporation
15:Sony Corporation
ソニーが3つも入っているなー。タイトルにもロボットという言葉が入っている。
でも、ソニーはAIBOを辞めてしまったし、就職してもロボット関係の仕事はないんだろうなー。でも、気になるなー。。。。。
まずは、この3つから行ってみますか。
とA君は意を決しました。

7,103,447 Robot apparatus, and behavior controlling method for robot apparatus
まずは、これです。
アブストラクトを見ると、
A robot (1) is provided which includes a situated behaviors layer (SBL)
(58).
This SBL (58) is formed in the form of a tree structure in which a plurality
of schemata (behavior modules) is connected hierarchically in such a matter
that the schemata are highly independent of each other for each of them
to behave uniquely.
A patent schema can define a pattern in which child schemata are connected,
such as an OR type pattern in which the child schemata are caused to behave
uniquely, AND type pattern in which the plurality of child schemata are
caused to behave simultaneously or a SEQUENCE type pattern indicating a
sequence in which the plurality of child schemata should behave, thereby
permitting to select a behavior pattern of the robot (1).
  Also, a new child schema can additionally be included in the SBL (58)
without having to rewrite the schemata connection in the tree structure,
whereby a new behavior or function can be added to the robot (1). Namely,
the plurality of behavior modules permits to enable the robot (1) to show
a complicated behavior and have units thereof recombined.
となっています。
うーーん。英語があんまり得意じゃないんだよね。
と、A君はうなりました。
そうだ、GOOGLEのツールバーにある翻訳を使ってみよう。
と、翻訳ボタンをクリック。
ロボット( 1 )の位置行動層( SBL ) ( 58 )が含まれています。
This SBL (58) is formed in the form of a tree structure in which a plurality of schemata (behavior modules) is connected hierarchically in such a matter that the schemata are highly independent of each other for each of them to behave uniquely.
このSBL
( 58 )は、ツリー構造の形では、スキーマの複数の(行動のモジュール)を階層的にこのような問題では、スキーマの高いそれぞれのそれぞれに独立している他のユニークな行動に接続されて形成される。
A patent schema can define a pattern in which child schemata are connected, such as an OR type pattern in which the child schemata are caused to behave uniquely, AND type pattern in which the plurality of child schemata are caused to behave simultaneously or a SEQUENCE type pattern indicating a sequence in which the plurality of child schemata should behave, thereby permitting to select a behavior pattern of the robot
(1).特許のスキーマは、子供のスキーマは、スキーマを一意には、子供の振る舞いをし、子供は同時に複数のスキーマのシーケンスのタイプや行動パターンの原因になる原因となっているタイプですがOR接続されているタイプのパターンのようなパターンを定義することができますパターンは、子供のスキーマのシーケンスを示す複数の行動を取る必要があります、それはロボット( 1 )の行動パターンを選択する許可。
Also, a new child schema can additionally be included in the SBL (58) without having to rewrite the schemata connection in the tree structure, whereby a new behavior or function can be added to the robot (1).
また、新しい子のスキーマを追加してSBL
( 58 )のツリー構造は、では、新しい動作や機能は、ロボット( 1 )を追加することができますではスキーマを書き換えることなく接続することができます。
Namely, the plurality of behavior modules permits to enable the robot (1) to show a complicated behavior and have units thereof recombined.
すなわち、行動モジュールの複数の複雑な挙動を示すが、ユニットをその再ロボット( 1 )を有効にすることができます。

 うーーん。わからんなー。
そうだ。まずは、技術者の思いが込められている「Description]から読めばいいんだった。

原文は、これから始まり。
BACKGROUND OF THE INVENTION

1. Field of the Invention

The present invention generally relates to a robot apparatus which can behave autonomously to have realistic communications with the user and a method of controlling the behavior of the robot apparatus,
and more particularly to an autonomous robot apparatus which can recognize
surroundings thereof including images and sounds and behave itself in response
to such conditions, and a behavior control method for the robot apparatus.


で、GOOGLEツールバーで翻訳をしてみよう。
何せ無料だから嬉しい。とA君は、またもクリック。
発明の背景

1 。 フィールドには、発明の
本発明は、一般ユーザと自律ロボットの動作を制御する装置の方法で通信が現実的に振る舞うことができるロボット装置は、特に、その画像や音声などを認識することができる自律型ロボットの周辺装置との関連性このような状況に対応しており、ロボット装置の動作を制御方法自体に振る舞う。

うーーん。今、ひとつかなー。雰囲気はわかるけれど、原文で言いたいことが伝わっていないよね。
このGOOGLEツールバーの翻訳で、15件を読んでいくのはつらいなー。
他の部分を見ても何か英文そのものも、特許独特なのかなー。。
とA君は腕組みをして考え込んでしまいました。

 そのまま、とろとろと一眠り。夢の中では犬型ロボット(AIBO)が踊っていました。
欲しかったなーあれ。何で売るのやめちゃったんだろう。ソニーは。

と、はっと目が覚めました。
そうだ、ソニーじゃんか。日本の会社じゃん。元になった日本語の出願があるはずだ。それを探してまずは英語に慣れるのがいいんじゃないかな。

原文を見ると、
This application claims the priority of the Japanese Patent Application No. 2002-257097 filed on Sep. 2, 2002, the entirety of which is incorporated by reference herein.
と書いてある。きっと、この 2002-257097 filed on Sep. 2, 2002ってのが日本語で書かれた元の出願に違いない。!!
よしこれを探そう。

日本特許庁の検索へgo
http://www7.ipdl.inpit.go.jp/Tokujitu/tjkta.ipdl?N0000=108
検索項目選択を公開番号にして、そこへ2002-257097へ入れて検索ボタンをクリック。
おお。出てきた出てきた、これだな。
A君感激して中身を見ました。
あれーーー、ソニーの特許じゃないじゃん?!
なんで?
あ!、そうか、公開番号のわけはないよね。
検索項目選択を「出願番号」にして検索。
あれ!0件だって?!
数字が半角でいれたのが間違いなのかなー。
全角でいれてみよっと。
ぐわん。「項目の指定が間違っています。」としかられました。

うううmm。
A君は困って、やけくそモードです。
「検索項目指定」を「公報全文(書誌を除く)」ってのでやってみました。
無情にもヒット件数0件と表示されます。

別の検索ページも試してみました。
特許・実用新案文献番号索引照会
http://www.ipdl.inpit.go.jp/Tokujitu/tjbansaku.ipdl?N0000=110
でもやってみましたが、
やっぱり「情報は存在しません。
と出ます。

ひょっとしてUSPの誤植??
そういうのもあるって聞いたことがあるぞ?!

困った。困った。英語を読むのをさぼろうとした罰だろうか??
神様ーーー。お助けくださいなー。

 朦朧としながら、米国特許を眺めていると、
あれ、この筆頭発明者は日本人ではないのかな?
日本人の名前を英語表記にすると漢字がわからないので発明者では検索しにくいけれど、外国人の名前だったら、カタカナに直しているだけだから探しやすいかも。
先ほどの「公報テキスト検索」のページで、発明者のところに
考えられる読みをカナでいれてやってみました。
そうすると15件ほどヒットしました。
順番に見ていくと
これだーってのが見つかりました。
【公開番号】特開2004-114285(P2004-114285A)
です。USPと図面が同じなので、きっとこれだ!
とA君は嬉しくなりました。
(31)【優先権主張番号】特願2002-257097(P2002-257097)
と書いてあるし、間違いありません。
でも、これがなぜダイレクトに検索できないんだろう?
疑問に思ったA君はさっきの発明者名による検索に「公報全文(書誌を除く)」というところに「特願2002-257097」と入れて検索してみると、
ヒット件数0件。無情です。
この「【優先権主張番号】特願2002-257097」の部分は書誌部なので検索できないみたいです。
全文検索で書誌を除かないでくれよおおお!」とA君は怒りで顔が真っ赤です。(ウソです。)
ちなみに米国特許庁では書誌部も含めて全文検索が可能です。
ちゃんとヒットした文字はイタリックになってさえくれます。
なぜ、なぜ、なぜ。
A君は昔、聞いた言葉を思い出しました。
民業圧迫回避」。無料で色々な検索ができるようになると有償でそういうことをやっている民間業者が困るから、制限付の検索しかさせない
ま。さ。か。これがそう?!
日本のお役人さんたちに失望してしまったA君でした。
(影の声:はやとちりだったらいいねーー。)

でも、なぜ出願番号で検索できないんだろーー?
A君の疑問は残りました。。。。。
(続く)

注意:AIBOはソニーの登録商標です。
   英文、および和文は当該特許明細書からの引用です。

ではでは、また。
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またCNETのブログにも載せています。
門 伝也


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2009.01.28 Wed l メルマガ連動企画 l コメント (0) トラックバック (0) l top

 さて、習うより慣れろという訳で、今日からは実際にやってみましょう。
USPサーフィンです。

 このメールマガジンの想定読者は、就職活動中の学生さんです。
エンジニアや研究者、知財担当者を目指す人を念頭において書いています。

ケーススタディ:AI大好き
 Aさんは、ロボットものが大好き。大学でもそれに関する研究室に所属しています。
AIはArtificial intelligence
人工知能の略です。

 AIに係わる仕事がしたい。できれば、研究や開発に携わりたい。
でも、大人数でやっている有名どころは避けて、少人数だが面白そうなことをやっていて、これから伸びそうなところがいい。
そんなふうに思っています。

 では、まず米国特許庁のアドバンスサーチにアクセスしてみましょう。
URLは
http://patft.uspto.gov/netahtml/PTO/search-adv.htm
です。
ここで、Query boxに
Artificial intelligence
と入力してサーチボタンを押してみましょう。
あれーーー??!。
The Query ( Artificial intelligence ) was unparseable (Missing boolean operator between expressions )
と出てきました。
そうかそうか、ダブルコートを忘れていました。
複数の単語からなる用語の場合は、これをつけないと認識してくれないのでした。
"Artificial intelligence"
でサーチボタンを押すと、
Results of Search in US Patent Collection db for:
"Artificial intelligence": 8264 patents.
と8000件も出てきました。
21世紀(2001年から2007年)に出願されたものだけに絞ってみました。
"Artificial intelligence" and APD/20010101->20071231
すると、
Results of Search in US Patent Collection db for:
("Artificial intelligence" AND APD/20010101->20071231): 3281 patents.
3000件かーー。まだまだ多いなー。
ところで、この検索式は、全文検索で特許明細書中にArtificial intelligenceという単語をひとつでも含むものを引っ張ってきています。
一言触れただけでも、引っ張ってきます。
そりゃ、違うのもたくさんあるだろうねー。
要約、AbstractにAIを含むものを見てみようかな?
ABST/"Artificial intelligence" and APD/20010101->20071231
で検索すると。
Results of Search in US Patent Collection db for:
(ABST/"Artificial intelligence" AND APD/20010101->20071231): 54 patents.
と見れなくはないなー。
ここで、ABSTは、Abstractを示しています。
ついでに、題名にAIを含むものを見てみると、
TTL/"Artificial intelligence" and APD/20010101->20071231
でサーチ。
Results of Search in US Patent Collection db for:
(TTL/"Artificial intelligence" AND APD/20010101->20071231): 20 patents
おおお20件だ。
これは、いくらなんでも少ないですよね。。。
だいたい、AIなんていうどんずばりのことをタイトルやアブストラクトに書くには、ちょっと抵抗がありますね。
さーーてどうしましょ。
調査でよくある、精度とノイズのバランスの問題にぶつかりました。
狭すぎると、調べ落としがあって、調べ落としがないように広く検索をすると、
やたらと件数が多くなって見てられません。
ぐーぐるするときもそうですね。
 ここで、特許分類が登場します。
まずは、米国特許分類を使ってみましょう。
 
 米国特許庁のトップページに戻ります。
まず、左側のメニューでpatentsをクリックするとサブメニューが出てきます。
そこにある
10 Guides & Manualsをクリックします。
右側にSearch Aidsというのがあって
その下に、Manual of Patent Classificationというのがあるので、それをクリックします。
このページが、米国分類を探すためのページです。
右側にSearch窓があるので、そこに
"Artificial intelligence"
といれて、サーチしてみましょう。
すると、検索結果がわっと出てきます。
そこにある、
Class Definition for Class 706 - DATA PROCESSING - ARTIFICIAL .
をクリックしてみましょう。
米国分類はクラスとサブクラスで成り立っています。
AIはクラス706に生息するようです。
先ほどの、アドバンストサーチのページを別の窓で開きます。
http://patft.uspto.gov/netahtml/PTO/search-adv.htm
Queryで、
CCL/706/$
とやってサーチすると、
Results of Search in US Patent Collection db for:
CCL/706/$: 6543 patents.
と6000件も出てきます。
21世紀に出願されたものだけに絞ります。
CCL/706/$ and APD/20010101->20071231
Results of Search in US Patent Collection db for:
(CCL/706/$ AND APD/20010101->20071231): 1699 patents.
と1600件ほどになりました。
まだまだ精読するには多すぎます。

 より細かい分類を組み合わせみましょう。
先ほどのページ
http://www.uspto.gov/go/classification/uspc706/defs706.htm
を下がっていくと、
SUBCLASSっていうところが出てきます。
そこで、ピンとくる単語を拾っていくと、
12 MACHINE LEARNING:
ってのが出てきました。
この12をクリックすると、
12 MACHINE LEARNING
13 。Genetic algorithm and genetic programming system
となっています。
前のページの13を見ると、
13 Genetic algorithm and genetic programming system:
This subclass is indented under subclass 12
と書かれています。
" Genetic algorithm"!!これってまさに修士論文のテーマじゃないですか?

CCL/706/13 and APD/20010101->20071231
Results of Search in US Patent Collection db for:
(CCL/706/13 AND APD/20010101->20071231): 102 patents
と出てきました。
100件です。
いい数字です。
よし、頑張って読んでやるぞ!とA君は思いました。
論文も読んでいるしできるはずだ!
でも、外資系はすぐに首をきるから、日本企業に限ってみよう。
CCL/706/13 and ACN/JP and APD/20010101->20071231
ACNは権利者の国名をあらわしています。
Results of Search in US Patent Collection db for:
((CCL/706/13 AND ACN/JP) AND APD/20010101->20071231): 15 patents.
まずは、これだな。読むぞー!!
Aさんが読むと決めた特許はこれらです。
PAT. NO. Title
1 7,328,193 Summary evaluation apparatus and method, and computer-readable recording medium in which summary evaluation program is recorded
2 7,243,086 Methods and systems for automatically generating provably correct computer program code
3 7,167,847 DNA computer and a computation method using the same
4 7,103,447 Robot apparatus, and behavior controlling method for robot apparatus
5 6,993,672 Timing adjustment of clock signals in a digital circuit
6 6,980,974 Method for processing expression data of genes
7 6,950,712 System and method for nonlinear dynamic control based on soft computing with discrete constraints
8 6,910,030 Adaptive search method in feature vector space
9 6,907,312 Method and apparatus for automatically producing a machining program
10 6,886,003 Method for controlling machine with control module optimized by improved evolutionary computing
11 6,745,130 Genetic motif extracting and processing apparatus, genetic motif extracting and processing method, and recording medium recorded with genetic motif extracting and processing program
12 6,675,126 Method, computer program, and storage medium for estimating randomness of function of representative value of random variable by the use of gradient of same function
13 6,627,900 Methods, based on a genetic algorithm, for configuring parameters of an array of multiple components for cooperative operation to achieve a desired performance result
14 6,470,237 Robot having a body unit and plural component units connected thereto
15 6,438,457 Storage medium, robot, information processing device and electronic pet system

どうですか?
それほど、難しくはないですよね?!
企業などで、権利侵害交渉や裁判の場合は、漏れがないようにもっと色々と探さないといけませんが、就職はフィーリングが大切です。
ここだと思う開発をやっているところを見つければいいのです。
気楽にやりましょう。
難しいことほど気楽にやるべし

ではでは、また。
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門 伝也


2009.01.19 Mon l メルマガ連動企画 l コメント (0) トラックバック (0) l top

大学のTLOで、民間企業の開発部門で切られた派遣の人達を雇って、技術立国の基礎固めを行う。という提案を前々回および前回のエントリーで行った
 でも、TLOの方々から、
「やったこともないプロトタイプの開発とか、派遣のエンジニアの管理なんかできないよ。」という声が聞こえてきそうだ。
 なら、退職された団塊の世代のエンジニアにもうひと働きしてもらうのはどうだろうか?
5年くらいの任期付職員としてTLOで雇えばよい。
 どういうひとを雇えばいいかにも特許情報が役にたつ。継続して何かの開発を行った経験があって、特許マインドが豊かで、特許取得の実績も多い。そういう人を探して、開発や派遣の管理をやってもらえばよい。
 団塊の世代の方たちは、技術立国日本を体験されている。また、同時に今後の日本の技術開発に不安を感じられているだろう。
 ●TLOに大学の研究を開発段階へと進める役割を与える。
プロトタイプを作り、周辺特許も含めて抑える。
今はまさに好機だ。


 当然、国からの予算的なバックアップは必須だ。
 でもいったいどれだけの費用がかかるのだろうか?
簡単に計算をしてみよう。
 すべての大学のTLOに開発エンジニアを割り当てるのは無駄が多い。地域ごとに拠点大学を決めて、そこのTLOに集約しよう。どこの大学に集約するかは、特許マインドを反映するものとして、特許取得件数を考えればよい。
 前々回のエントリーから、米国特許の取得件数が多いのは下記の大学だ。
1:大阪大学   
2:東京工業大学 
3:東京大学   
4:東北大学   
5:名古屋大学  
6:京都大学   
7:広島大学   
8:九州大学   
ざっと、日本全体で拠点開発TLOを10箇所配置するとする。
各拠点ごとに、開発派遣エンジニアを100名配置し、退職団塊エンジニアの方を10名配置するとする。ざっと、1人月100万円の費用がかかったとして、1拠点あたり、毎月1億1千万円の費用がかかる。開発資材費として、毎月9000万円を考えると、切のいい数字として、1拠点あたりの毎月の開発費は2億円だ。
国内10拠点で毎月20億円。
 さて、どのくらいの期間この体制を続けるべきか?
景気は「全治3年」という説もあるが、本格的な回復までには5年は見たほうがいいだろう。また、5年は開発期間としても長すぎず、短すぎず、ちょうどいいだろう。
5年、60ヶ月を先の20億円にかけると、総額1200億円だ。
これだけかければ景気回復期に日本の大学で産まれた研究が、日本企業から製品となって世の中に出て行って、新たな雇用を生み、消費が喚起されて、税収が増えるのではないだろうか?
 この1200億円は高いだろうか?
定額給付金は、2兆円だそうだ。その1/10に満たない金額だ。
定額給付金のGDP押し上げ効果は0.2%程度だという。それよりも、この1200億円の方が5年後のGDPの押し上げ効果は高いのではないだろうか?
5年後の雇用の吸収能力も大きいと期待できないだろうか?

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門 伝也


2009.01.10 Sat l CNET連動企画 l コメント (0) トラックバック (0) l top
第4回配信 特許を見てみよう。

まずは、前回の復習から。
========================================================
AN/XXX and ISD/YYYYMMDD->yyyymmdd
の書式で、
関心のある企業を検索してみてください。
====================================
さて、今回から実際の特許の中身をみて行きましょう。
http://www.uspto.gov/
にアクセスして、
Advanced Searchを使って、
AN/google and ISD/20071224->20071225

すると、
Results of Search in US Patent Collection db for:
(AN/google AND ISD/20071224->20071225): 3 patents

PAT. NO. Title
1 7,313,361 Dynamic data delivery apparatus and method for same
2 7,313,360 Dynamic data delivery apparatus and method for same
3 7,313,359 Dynamic data delivery apparatus and method for same


という具合に3件ヒットしました。
昨年のクリスマスかイブにおぎゃーと産まれた特許です。
最初の特許をクリックしましょう。
最初の2行を見ると、
United States Patent           7,313,361 ---(1)
Steelberg , et al. ---(2)      December 25, 2007 ---(3)
となっています。
ここで(1)は特許の番号です。通し番号ですね。
(2)は、発明者です。 et al.ってなんでしょうか?
他っていう意味です。
Steelberg、他っていうことです。
筆頭発明者、他っていうことで、筆頭発明者だけは、S特許とか呼ばれて、かなり名誉です。
他の人の名前は、後の部分に出てきます。

Dynamic data delivery apparatus and method for same ---(4)

Abstract ---(5)
A system for providing enhanced radio content to a remote user is disclosed. ---(中略)----, wherein the at least one manipulation is in accordance with the at least one non-radio input.

 (4)は、特許のタイトル、題名です。
(5)はアブストラクト、特許の要約です。

Inventors: Steelberg; Ryan (Newport Beach, CA), Steelberg; Chad (Newport Beach, CA) -----(6)
Assignee: Google Inc. (Mountain View, CA) -----(7)
Appl. No.: 11/185,585 -----(8)
Filed: July 20, 2005 -----(9)

ここで(6)は発明者のリストです。ようやく、その他の発明者名が出てきました。
(7)は権利者名です。
(8)は出願番号です。出願したときに、割り当てられる番号ですね。
特許審査のための受験番号みたいなものです。
(9)は出願日です。受験の受け付け日です。

さて、ちょっと下がって、以下のところを見てください。
Current U.S. Class: 455/3.06 ; 455/353; 455/420; 455/557; 705/14; 709/206; 725/42 -----(10)
Current International Class: H04H 7/00 (20060101) ---(11)
Field of Search: 455/352-353,418-420,462,465,556,557,3.01,3.04,3.06 709/217,204-207,209 725/38-42,45-47 705/14,37 -----(12)

ここで(10)は、米国特許分類でどこに入っているかということを示しています。
特に、最初のものを筆頭米国分類と言って、その特許が、何に関するものかを端的に表すものです。 なお、米国分類については、次回か、次々回くらいに説明します。
今は、こういう分類コードが振られているんだと思っていてください。
 (11)は国際分類でどこに入っているかということを示しています。
(12)は、先行技術を探す際に分類コード上、どこを見たかということを書いてあります。

さーーて、ずっと下がって、
Claimsの項目をみてください。

------------------------------------------------------------------------------
What is claimed is:

1. A system for broadcasting advertisements to a plurality of users, the system comprising: 。。。radio stations for the selected time slot in real time.

このClaimが特許の本体です。どういう権利をもらったぞ!ってのが書かれている部分です。特許紛争が起こると、この部分の解釈をめぐって、当事者間で大論争を行います。また、裁判でもここが利いてきます。


さらに下がって
Description以下を見てください。
ここからがエンジニアの思いが伝わってくる部分です。
今、みんなが使っている技術にはこういう欠点があって、俺は、その欠点を除く、こんなにすばらしいアイデアを考えたんだぞ!ってのを延々記載しています。

興味のある特許を見つけたら、英文解釈だと思ってじっくりと読んでみてください。
発明者であるエンジニアの思いが伝わってくると思います。

では、例によって、関心のある企業を見てみてください。
ではでは。




2009.01.10 Sat l メルマガ連動企画 l コメント (0) トラックバック (0) l top

前回のエントリーで
●大学のTLOに国の予算をつけて、開発部門で切られた派遣の人達をバックエンド込みで雇う
という提案を行った。
「科学技術立国」の土台作り。まさに、未来につながる「公共事業」だ
詳細は前回のエントリーを参照のこと。

さて、その際、
日本の大学関連の米国特許の取得状況が心もとないという話をした。
今回のエントリーでは、その部分に焦点をあてたい。

 調査期間は1980年から2002年までの23年間。

まずは、日本の大学

 件数の多い順に主要大学をリストアップする。
1:大阪大学   52件(内27件は、財団法人、阪大微生物研究会所有。)
2:東京工業大学 49件
3:東京大学   45件
4:東北大学   36件
5:名古屋大学  34件
6:京都大学   23件
7:広島大学   22件
8:九州大学   19件

上記の国立大学の合計件数は280件となる。

特許の中で目を引くものを見ていきたいと思う。
●大阪大学:
Number(Issue)4,464,578( August 7, 1984 )
Title:Wave energy converter.
波力発電に関するもののようだ。

財団法人、阪大微生物研究会所有のものを見ると、
抗原たんぱく質やDNA関連の特許が見られる。Stabilized live vaccineのよう
なワクチン関係の特許も。

●東京大学
超伝導関連特許が多いようで目を引く。
特に「超電導共役光伝導の基本物質Cusub2 Oを有する超電導オプトエレクトロニク素子」というような、光関連デバイスと関係したものが多いようだ。

Number(Issue):5,939,632( August 17, 1999 )
Title:Micromechanical accelerometer.
というものがあり、MEMS応用の加速度計だろうか。ケンブリッジ大学および松下電器との共有特許となっている。

●東京工業大学
Number(Issue)4,217,172( August 12, 1980 )
Title:Coolant system and cooling method utilizing two-phase flow for
nuclear fusion reactor 核融合炉の冷却システムに関するもののようだ。

Number(Issue):5,236,864( August 17, 1993 )
Title:Method of manufacturing a surface-emitting type semiconductor
laser device.面発行半導体レーザーに関する特許で、SANYOなどとの共有特許。

その他、X線露光用のマスクに関する特許もある。

●広島大学
Number(Issue):5,889,424( March 30, 1999 )
Title:Pulse width modulation operation circuit
パルス変調回路技術に関するものがある。

●東北大学
Number(Issue):5,923,779( July 13, 1999 )
Title:Computing circuit having an instantaneous recognition function and
instantaneous recognition method.
タイトル:瞬間的な認識機能および瞬間的な認識方法を有するコンピューティング回路
The present invention has as an object thereof to provide an intelligent
electronical system which conducts the real-time recognition of real
world data and makes decisions with respect to the data;
がある。

●京都大学
多孔性アルミニウム酸化膜に関連した特許が複数ある。

次に、産学連携に注目して、いくつかの民間企業がどういう大学と共有特許を持っているかということを見ていきたい。

フマキラーが広島大学とアレルゲンの精製やDNAに関する特許を共有している。

富士通が名古屋大学と波長多重化光源についての特許を共有している。

豊田合成と名古屋大学とのGaN関係の共有特許が目を引く。製法、装置、発光素子に関するものなどいくつかある。

次は、スタンフォード大学
約1100件の特許がある。

 特許からみた発明人口は約1300人。筆頭発明人口は約600人。

 まず、筆頭米国分類の主分類から、どのような特許があるのかをおおまかに把握する。筆頭米国分類集計をソートして件数の多いものをピックアップ。

米国分類435:171件 生化学
米国分類359:61件  光通信部品類
米国分類385:61件  光導波路
米国分類324:59件  電気:計測テスト
米国分類514:56件  薬
米国分類356:54件  光学:計測、テスト

となる。
光関係が目立っているようだ、中身をみると、
●光ファイバ増幅器、カプラ
●ホログラフィック記憶
●光変調器
●光MEMS関連
という具合に、光通信関係が多い。

人(先生)に注目してみると、
発明者別集計から件数の多い人を抽出した。
Shaw;HerbertJ. 68 patents
Digonnet;MichelJ.F. 40
Byer;RobertL. 38
Kino;GordonS. 38
Quate;CalvinF. 28
Kim;ByoungY. 27
Zare;RichardN. 26
Pauly;JohnM. 25
Fejer;MartinM. 23
Crabtree;GeraldR. 20

この中の何人かの特許を紹介する。

●Shaw;HerbertJ.
4,493,528 Fiber optic directional coupler.
4,410,275 Fiber optic rotation sensor.
4,556,279 Passive fiber optic multiplexer.
4,469,397 Fiber optic resonator.
4,530,097 Brillouin ring laser
4,676,585 Continuously variable fiber optic delay line.
4,554,510 Switching fiber optic amplifier.
4,652,079 High speed pulse train generator.
4,938,556 Superfluorescent broadband fiber laser source.
4,828,350 Fiber optic mode selector.
4,952,059 Reentrant fiber raman gyroscope.
5,106,193 Optical waveguide amplifier source gyroscope.
5,537,671 Technique of reducing the Kerr effect and extending the dynamic
range in a brillouin fiber optic gyroscope.
という具合に、光ファイバを中心とした多くの光通信関係の発明者だ。

●Digonnet;MichelJ.F.
この方は先のShaw先生と同じグループだったようだ。

●Byer;RobertL.
4,213,060 Tunable infrared source employing Raman mixing.
4,555,786 High power solid state laser.
4,701,928 Diode laser pumped co-doped laser.
4,731,787 Monolithic phasematched laser harmonic generator.
4,902,127 Eye-safe coherent laser radar.
4,951,294 Diode pumped modelocked solid state laser
5,227,911 Monolithic total internal reflection optical resonator.
5,800,767 Electric field domain patterning.
6,108,121 Micromachined high reflectance deformable mirror.
などという具合に、(固体)レーザー関係が多い。

●Kino;GordonS
4,781,425 Fiber optic apparatus and method for spectrum analysis and filtering.
 Filed:February 18, 1966  Issue:November 1, 1988
 と20年かけて成立した特許だ。
4,503,708 Reflection acoustic microscope for precision differential phase imaging.
4,627,730 Optical scanning microscope.
4,683,750 Thermal acoustic probe.
4,872,738 Acousto-optic fiber-optic frequency shifter using periodic contact with a surface acoustic wave
5,022,743 Scanning confocal optical microscope
5,073,018 Correlation microscope
5,121,256 Lithography system employing a solid immersion lens.
5,907,425 Miniature scanning confocal microscope.
5,982,716 Magneto-optic recording system employing near field optics.
6,075,639 Micromachined scanning torsion mirror and method.
6,172,789 Light scanning device and confocal optical device using the same.
6,477,298 Collection mode lens system
という具合に、光に関連した非常に幅広い技術開発をされているようだ。

●Crabtree;GeraldR.
件数は20件程度と少ないが、非常に特徴的な権利取得をされている。
以下の特許は技術起源が1993年で、同一特許出願を分割継続を行って育てているものと思われる。
5,830,462 Regulated transcription of targeted genes and other biological events.
同一名称で
5,869,337、5,871,753、6,011,018、6,046,047、6,063,625、6,140,120、6,165,787
などの特許がある。遺伝子治療の薬に関係していると思われる。
さらに
5,837,840 NF-AT polypeptides and polynucleotides.について
6,096,515、6,171,781、6,312,899、6,388,052と派生している。
こちらは、「ポリペプチドをコード化」に関係する特許で、
「トランスジェニック人間以外の動物を生産する方法に提供する。」とのことで、
いわゆるクローン技術に関係するものと思われる。

次は、MITの場合。

約2000件の特許がある。

 まず、権利者別集計を見てみた。
当初、企業との共同特許がバンバンあるのかと思っていだが、あまり目立たず、MITの単独特許が多いようだ。

 医療機関との共有特許もある。
Children's Medical Center Corporationとの例を上げると
Number(Issue):6,095,148( August 1, 2000 )
Title:Neuronal stimulation using electrically conducting polymers
abstractには
In one embodiment, electrically conducting biocompatible polymers may
be used alone or in combination with a polymeric support for in vitro
nerve cell regeneration, or in vivo to aid in healing nervous tissue
defects.とあり、導電性のあるバイオコンパティブルポリマーを用いることによって、神経細胞の再生ができるという特許のようだ。

 筆頭米国分類をみるともっとも多いのは435番で、DNA、たんぱく質関連の特許が多いようだ。

 半導体関連を見ていく。
メモリ365関連を見ると、
Three-transistor content addressable memory. や

Circuit technique for logic integrated DRAM with SIMD architecture and a
method for controlling low-power, high-speed and highly reliable
operation.がある。こちらの方はNECとの共有特許。

 続いて、半導体製造プロセス関連438を見る。
Nanoparticle-based electrical, chemical, and mechanical structures and
methods of making same.が目を引く。パターン形成がプリントするように
できる特許と思われる。

 超伝導関連505も目を引く。酸化物系の超伝導物質が多いようだ。

 発明者別集計を見ていく。
発明人口は1980年以降、約2500人。
特許件数が100を超える人にLanger;RobertS.氏がいる。バイオ関連特許が多いようだ。

感想:
MITの場合、MIT名義の米国特許が約2000件あった。
日本の国立大学の場合、主要大学の米国特許保有数を合計してもその10分の1程度だ。さらにクレーム数解析の結果を見るとMITの場合、クレーム数が50以上のものが多数存在するのに対して日本の場合、ほんの数件だ。すなわちクレーム数ベースで比較するとその差はさらに大きくなると思われる。米国特許であるという点を考慮しても特許件数が少ないと言わざる負えない。
 日本の大学の場合、大学の先生のアイデアは企業から出願され、大学の先生は発明者に留まるという話を良く耳にする。MITの勢いを見ていると日本の大学が「それでいいわけがない」と強く感じる。

 特に、特許に対する感性や態度は、ほとんど、その組織の文化と言ってもよい。
なかなか、その流れは変わらない
 そこで、冒頭の提案となる。
 TLOが主体となって、開発経験のある派遣技術者をバックエンドともども使って、技術や製品のプロトタイプまでを作って、周辺特許を押さえる。
TLOにそういう機能を持たせる。今、世の中はピンチだがチャンスとも言える。
大きな変化は苦難の時代にこそ生まれる。
「科学技術立国日本」が幻に終わらないことを切に願う。

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2009.01.05 Mon l CNET連動企画 l コメント (2) トラックバック (0) l top