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日経マイクロの最新号(2009年12月号)が届いた。
妙な気まぐれから、後ろから読んでいった。
ほぼ記事を読み終えて8ぺーじに達すると、
「日経マイクロデバイス休刊のお知らせ」が現れた。
 「NIKKEI MICRODEVICES休刊と
  日経エレクトロニクス、 
  Tech-On!への事業移管のお知らせ」
と記載されている。
「半導体業界を取り巻く市場環境の下、発行継続の基盤が整わず、休刊させていただきます。」とのこと。

 目が点になった。そして、さもありなんと、時代の流れを感じた。

 日経マイクロは筆者にとって思い出深い雑誌だ。
確か、創刊号から購読している。
日経マイクロは日経エレクトロニクスからの分派雑誌だ。就職して半導体の仕事を始め忙しくも面白い時に現れた。
当時、我々が開発していたチップの写真も表紙に載せていただいた。インタビューも受けたことがある。確か、その時、来られた記者の方が最後の編集長のようだ。

今年、筆者はエンジニアから完全に引退した。そして、同じ年に日経マイクロは休刊となった。筆者のみならず、この雑誌と同期するようにエンジニア人生を送った方々は多いはずだ。
「日本デバイス産業:存在感を取り戻せ」と言うのがその号の特集のタイトルだ。
確かに、確かに、薄い存在感だ。そして、これは、遺言のようなメッセージだ。

悲観的な話しばかりが、闊歩している。
景気の後退から悲正規労働者は減らされ、その分、正社員は益々、忙しくなり、未来の技術に想いをはせる時間も心の余裕もない。特に管理職クラスは、窮屈な世の中になったための会議が増え未来逃避の状況だ。

大学もアウトプットとしての特許には感心が薄いようで、ハコモノ研究所ばかりが増えてはいないか?
 大学の米国特許の成立状況を見ても、他の英語圏外の国と比べて突出しているとは言い難い。(英語圏と比べると「ボロボロ」だ。)

デバイス系ベンチャー企業の状況どうだろうか?
今は、起業に向く時期だろうか?
いい噂は聞こえて来ない。

「科学技術立国」とはいったいどこの国のことなんだろうか?
工場が海外に移転。そして開発もいずれは工場で行うようになるだろう。海外技術移転という言葉はいずれ死語になるだろう。
それは、国内の開発研究所から地方への技術引き継ぎがなくなり、工場開発が普通のものになったのと同じ流れだ。
最後にはブランドが残るがほんの一部のブランドを除いて世界には通用していない。八方塞がりだ。

休刊となる日経マイクロを始め、ジャーナリズムに対する期待だけが最後に残る。ただ、舞台はもはや紙媒体ではないのだろう。
日本人の心からエンジニアの遺伝子が消え去る前に、行動すべきだ。
発言しよう。エンジニア時代の喜びを知る古参の人達よ。
今はブログといういい環境がある。これもひとつのジャーナリズムだ。単なるオンライン思い出話で終ってもいいのではないか? 苦しくとも開発競争に見出だした密かな喜びを伝えよう。自分の子供はエンジニアにしたくはないとは思っていても、他人の子供にはエンジニアになってもらってもいいんじゃないか?
そんなノリでもいいはずだ。

。。。。。

門伝也(もん でんや)

続きなどはPDF文庫で




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2009.11.30 Mon l 最近読んだ本 l コメント (0) トラックバック (0) l top

 スマートグリッドとは、気まぐれな自然エネルギーを有効的に活用できるようインテリジェント化された電力網のことだ。。

 さて、いきなり脱線しよう。
スタートレック映画の、「スタートレック4:故郷への長い道(THE VOYAGE HOME)」をご覧になられたことがあるだろうか?
筆者はSF映画が好きで、中でもスタトレが大好きで、その中でもこの4が最も気に入っている。最初見たときは、何これ? SFじゃない?と感じたものだ。それというのも、カーク達が20世紀のサンフランシスコにやってきて、どたばたとコミカルに街中を歩き回るのだ。そして、鯨のカップルを捕獲して23世紀に連れ帰り、地球を救う。
 物語の始まりはかなり唐突で、宇宙の果てから正体不明の異性人がやってきて、海にいる鯨と交信しようとする。その影響で海は気化を始め、大気には雲が満ちる。そして、23世紀の主たるエネルギー源である太陽光が使えなくなってしまう。地球全体で太陽エネルギーの最適利用をしているようだが、地球全体が曇り空になってしまっては、エネルギーが枯渇してしまう。
 カーク達の時代には地球規模でのスマートグリッドがあったに違いない。
と、脱線から復帰できた。

 自然エネルギーの代表格は太陽光だが、風も面白い。
筆者の住む地方では山おろしの風が強く、台風なみの風がしばしば吹く。一度、車を降りたとたんに眼鏡を吹き飛ばされてレンズが割れてしまったことがある。ここで自然エネルギーを活用するなら風だなーと常々思っている。とは言っても、あの大きな風車は願い下げだ。低周波騒音以前に頭の上のそういうのがあるのはつらい。人を威圧せず、存在を意識させない風車が必要となってくるだろう。それができれば電柱の上にこっそりと載せてしまって、電柱の数だけミニ風力発電所ができて、それをスマートグリッドに接続する。いいとは思わないか?!

 海に囲まれた日本では自然エネルギーとしては、海流や潮流とかも面白いのではないだろうか?海底に巨大な施設を作るのではなくトロール網のように海底に流す。これも小さなものをこつこつとたくさん作るのがよい。
 いわゆる、水力発電にしても、ダムが必要だという先入観をまずは除けないか? 川に流す形で発電する網のような水力発電機。しかも、劣化したものは自然に分解してなくなる。各発電網はスマートグリッドに接続されているので、生きている発電網からのみエネルギーを集めれられる。
 
 ところで、電力網をインターネットになぞらえている人たちがいるようだ。この発想はとても面白い。そのシステムには電力ルーターなるものが存在していて、上流と下流の間の電力バランスを調整したり、下流内部での相互のやり取りを調整したりするらしい。
 LANのスイッチングハブや、ルーターにはメモリが搭載されていて、情報を格納し必要なときにパケットとして、送信する。このメモリにあたるものが、電力ルーターでは電池やキャパシターになる。情報とエネルギーが対応する訳だ。
 現在の電力網は並列の世界だ。ACコンセントの右側は部屋中のACコンセントの右側につながっている。これをLANのようにスター状に接続するものにしたらどうなるだろうか? これを便宜的に「電力LAN」と名づけよう。電力LANはエネルギーの伝送のみならず、情報もやり取りできればいい。
 想像してみて欲しい。手元のフォトフレームをこの電力LANに接続する。同時に窓につるした太陽電池パネルもここに接続する。家の中にある電力LANルーターが適宜、窓辺で発電されたエネルギーをフォトフレームに送り、余ったら蓄積し、外部に売電までやってのける。

 さらにこんなSF的妄想も膨らむ。
情報はパケット化されることではるかに扱いやすくなり、インターネットの世界を生み出した。エネルギーをパケット化して扱うことはできないのだろうか?
それができれば、まさにオンデマンドでエネルギーの受け渡しが可能になる。インターネットを行き交う情報のように、エネルギーが世界中をパケットの形でやり取りされるのだ。エネルギーサーバーに蓄えられたエネルギーや、発電サーバーのエネルギーをアドレスを指定することで、自宅で利用できる。自宅で発電したエネルギーをサーバーにアップロードする。
 カークの暮らす23世紀はこういう時代なのではないだろうか? その時代では、あの野蛮とも言える高圧鉄塔はなくなっているに違いない。

 こういう具合にまずはイメージを膨らませた。
今後、スマートグリッドの米国特許調査を開始する予定だ。
暗い時代に明るい夢を探してみたいと思う。

門伝也(もん でんや)
ブログサイトにも載せました。

続きなどはPDF文庫で




2009.11.15 Sun l スマートグリッド l コメント (0) トラックバック (0) l top

 俗に言うSemiconductor-Xを探そうというシリーズだ。

 筆者がかつて属していた日本半導体業界は今や、斜陽産業と言ってもいい状況かもしれない。
多くの企業が工場を手放し、ファブレス路線を取ろうとしている。
そのため多くの優秀なプロセスエンジニア達が行き場を失いつつある。
自分の経験や知識、知恵を伝えようにも伝える相手が国内にいない。

 プロセスエンジニア向けの大きなテーマとしては、
1:脱シリコン
2:+X
の二つがあるように思える。
1つめは、有機半導体など脱シリコンの流れだ。
そして二つ目は、シリコン以外の物質や構造とシリコン半導体の融合だ。
(さらに遠い未来では、1と2が合体しているかもしれない。)

 本シリーズは2の+X路線を探るものだ。
手がかりは大学特許だ。
大学の先生は、学会活動などを通して視野が広い。
好奇心が知恵の源泉であり、新規でなければ研究テーマにならない。
そういった人たちが半導体X的に何を考えているかを探る。
 用いる資料は、筆者が編集に参加している、「大学米国特許調査2009」だ。

 さて、「大学米国特許調査2009」では、6つの分野に分けて、分類集計を行っている。
バイオ、化学、医療系。
計測、電気系。
コンピュータ通信系。
素材系。
半導体系。
ナノテクノロジー系。
の6つだ。
今回は半導体系の資料を用いる。
Xとして、化学を見てみよう。
すなわち、「半導体ー化学」デバイスを大学特許に探してみようという訳だ。
この資料では、特許的有力大学が米国分類からみて、どういう分野にどういう特許を持っているかが一目でわかり、なおかつその詳細情報にハイパーリンクを使って容易にアクセスできるようにしている。
すなわち、森(全体)と木(詳細)の間を容易に行ったり来たりできるわけだ。

 資料の米国分類CCL=204:化学を見てみよう。
M大学は、20件の特許の譲受人(特許成立時の保有者)になっている。その20という数字をクリックすると特許リストが現れる。
分子ベースマイクロデバイス的名称を持つ特許が並んでいる。
デバイスの中で化学変化がおきるのだろうか?
特許番号をクリックすると、書誌情報が現れさらにアブストラクトをクリックすると、アブストラクトが現れる。
左側に英文。右側に機械翻訳だが日本語がある。
ざっくざっくと見ていく場合には、日本語がありがたい。
"The properties of these devices can be controlled by molecular-level changes in electroactive plymer components."
と記載されている。
しかも、
ダイオード、トランジスターなどを含んでいるとある。
ここまでたったの4クリックだ。
図面を見ると分子式がある。

やった。半導体Xをひとつ見つけた

 さて、ここからは優秀な日本の半導体デバイス、プロセスエンジニアの出番だ。
湿度、温度による劣化がないか?
温度変化によるストレスで、ケミカル層がおかしなことにならないか?
などなど、色々と気になってくる。
さらに、回路技術者には
周辺回路技術に必要なものは何か?
という疑問がわくはずだ。

 ここで提案をしたい。
半導体Xを探し、その実現に必要な技術に関する特許ブレーンストームを行って欲しい。
これは、かつて企業で半導体エンジニアであった筆者からの心からのお願いだ。きっと未来につながる

 優秀なエンジニアを抱えながら、彼らにリストラにおびえ定年を待つだけの人生を与えることは社会的な損失だ

 経営陣の英断を期待する。

おまけ。
1:動画も投稿している。
http://www.youtube.com/watch?v=THbPE-nF1A0&feature=channel

2:ブログ読者には特別にこのURLをお知らせする。
先ほど見つけた半導体Xの図面があるGOOGLE PATENTSへのURLだ。



門 伝也(もん でんや)
ブログサイトにも載せました。

"univ_2009_pro" ここをクリック。
   ブレストの役にきっとたつ。


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2009.11.02 Mon l semiX l コメント (0) トラックバック (0) l top