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自己組織化」という言葉をご存知でしょうか?
文字通り、「自分で」(勝手に)組織化されるということで、
組み立てなくても、勝手に物質などの方が構造を持ってしまうというものです
この自己組織化、微細なナノ構造を構築する際の有力な方法として注目されてい
ます。今回の探検隊レポートでは、この自己組織化の中でも半導体製造プロセス
デバイスに関係が深いものを
主として取り上げたいと考えています。



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 半導体プロセスデバイス関係に入る前にまず、全体的な傾向を筆頭米国分類から把握したいと思います。
 目立つものとしては359番:光学関係、382番:画像解析、424番:薬関係435,436番:化学関係、706番:データ処理があります。

 今回は、これらの中では裾野にあたる半導体プロセスデバイス関係438番を重点的に見ていきます。

 筆頭米国分類優先年表示のデータを見るといきなり、面白そうなものが引っかかってきました。Number(Issue)=5,561,071( October 1, 1996 )"DNA and DNA technology for the construction of networks to be used inchip construction and chip production (DNA-chips)."Priority:Foreign Application Priority Data Jul 24, 1989[DE]39 24 454.7というもので、「核酸および特定のDNA結合たん白質の使用による特定の分子の超小形電子回路の構造に関する。」です。どうも、DNAの微細な線を配線として利用しようとするもののようです。大変短い特許で図面が1枚しかありません。
個人の出願のようです。これがもし、LSIにおけるキルビー特許に相当するものになったら、「大当たり」特許なのかもしれません。

 次にカリフォルニア大学によるNumber(Issue): 5,545,291( August 13, 1996 )Title:Method for fabricating self-assembling microstructures.タイトル:自己集合超小型構造を作る方法を見ていきたいと思います。
これは、「流体トランスポートによるサブストレートの上へ超小型構造をアセンブルする方法。」だそうです。小さな箱形状のものが基板に開けた穴に、液体中を移動するうちに勝手にはまるもののようです。明細書には、基板に開けた穴というか仕切りの中にはまっている微小物体が写ったSEM写真があります。ちょうど、しきりに入ったお土産用のチョコレートか、もなかのようでもあります。
主たる用途としてはシリコン半導体上に、微小LEDや半導体レーザーを組み込むというような場合を想定しているようです。

 次にキヤノンによるNumber(Issue):6,214,738( April 10, 2001 )Title:Method for producing narrow pores and structure having the narrowpores,and narrow pores and structure produced by the method.を見ていきます。
 これは基板上に無数の規則正しく並んだ狭くて深い井土状の穴を形成する方法に関するものです。正方形の繰り返しや、三角形構造の繰り返しが可能なようです。機能性物質や、光応用デバイスなど多くの応用が可能だとのことです。粒子線照射と陽極酸化を組み合わせて実現しています。従来の自己組織化の方法による穴の形成方法の改良です。

 次にMITによるNumber(Issue):6,294,401( September 25, 2001 )Title:Nanoparticle-based electrical, chemical, and mechanicalstructures and methods of making same.を見ていきます。
 「本発明はプリントのようなデポジション技術による電子的で、化学的、機械的デバイスの製作方法に関する。」ものです。この技術を用いれば、ケミカルFETなるものを製造することができるとのことです。これは、MOSFETのゲート部分がBIOLOGICAL MATERIALになっているものです
例としては「オリゴヌクレオチドの場合、オリゴヌクレオチドの交雑を、検出できる。」が上げられています。このシリコン上層に堆積させる層をつくるときに、自己組織化の技術を用いています。

Number(Issue):6,300,156( October 9, 2001 )Title: Process for fabricating micromechanical devices.タイトル: micromechanicalなデバイスを作るためのプロセス。
Assignee:Agere Systems Optoelectronics Guardian Corp.:Lucent Technologies Inc.:
これは、ヒンジ(つなぎ部)を有するMEMSデバイスの製造方法に関するものです。
組み立てがSELF ASEMBLEであるもので主として光スイッチを想定して考えられているようです。共同権利者にルーセントが含まれています。

最後に日本の特許を紹介します。
Number(Issue):5,970,381( October 19, 1999 )Title:Method for fabricating organic thin film.タイトル:有機的な薄膜を作る方法。
Assignee:National Institute for Advanced Interdisciplinary Research:
これは、半導体基板上に良質で強固な単分子膜を形成するための方法です。
この単分子膜の形成が自己組織化を利用してなされるものです。「電子回路および光デバイス」の製造に利用できるとのことです。
自己組織化を用いて形成しなかった膜は、耐アルカリ性などの点で弱く複雑なデバイスを造ることができなかったのですが、本発明ではその点が改良されるとのことです。


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  探検隊長より

ナノテク、バイオと半導体技術の接点を探るというのがセルボニクスの特許調査の大きな
トピックスです。その意味で、今回の調査は非常に面白いものになったと思っています。
バイオ技術に関する特許では米国に大きく水を開けられていると言われる日本ですが、
半導体関連技術(者)の裾野の広さでは、米国に決してひけを取っていないと思います。
半導体業界の閉塞感を忘れ、積極的に、(個人レベルでも)学際、
境界分野に進出することで、未来が開けると思えます。





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2008.11.21 Fri l 特許探検隊分室 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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