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 今回のテーマはフォトニック結晶に関してです。特に、フォトニック結晶と通
信の接点
を探ってみたいと思います。



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 物質中に周期的な規則構造を作り出すと、屈折散乱が何度も起こることで、ある波長の光を通さなくなるという現象が現れます。このような現象が発生する(人工的な)結晶をフォトニック結晶と呼んでいます。これを応用すると、ちょうど電子に対する半導体のように『光の半導体』が実現できることになります。半導体が産業に及ぼした影響を考えると『光の半導体』たるフォトニック結晶が将来の産業に与える影響の大きさが想像されます。

 特に高効率光ファイバー半導体レーザー光ICへの応用が期待されています。

 まず筆頭米国分類集計優先年表示を用いて全体的な傾向を把握していきたいと思います。
 多いものを見ていくと、385:OPTICAL WAVEGUIDES 、359:OPTICS、343:COMMUNICATIONS、372:COHERENT LIGHT GENERATORS などがあります。
光関係に件数が多いのは容易に想像できますので、裾野である343:COMMUNICATIONSを重点的に見ていきたいと思います。

5,389,943( February 14, 1995 )
Title:Filter utilizing a frequency selective non-conductive dielectricstructure
Assignee:Lockheed Sanders, Inc.:Massachusetts Institute of Technology:
 この特許は分割継続を遡ると技術起源が1991年に遡ります。ミリ波から赤外にわたる周波数選択フィルタに関するものです。
特徴的な構造としては、不導体、高誘電媒質を円柱状の形状にして2次元的に規則的に並べた構造になっています。入出力は両端に置いたコイルから行うようです。

Number(Issue):5,386,215( January 31, 1995 )
Title:Highly efficient planar antenna on a periodic dielectricstructure.
タイトル:周期的な誘電体構造上の非常に効率的な平面アンテナ。
Assignee :Massachusetts Institute of Technology:
 基板内に先ほどの特許と同様な円柱状の集合体があり、それに対して、基板上平面に形成されたアンテナがあり、そこから、基板内の周期構造に対して電波が照射されたり、吸収されたりします。「アンテナが高誘電率を有する半導体基板に、直接作られることが可能であるので、アンテナを含むモノリシック回路はアンテナと一緒のサブストレートおよびバンドギャップを形成する周期的な構成に組み込まれることができる。」とのことで、アナログRFを含むSOCにおいて有効であると思われます。

Number(Issue):5,541,613( July 30, 1996 )
Title:Efficient broadband antenna system using photonic bandgapcrystals.
タイトル:photonicなバンドギャップ・クリスタルを使用している効率的なブロードバンド・アンテナ系。
Assignee :Hughes Aircraft Company, Hughes Electronics:
 この特許は平面アンテナに関するものです。
フォトニック結晶を用いることによって、従来のアンテナと比べて広いレンジで高い電力効率を実現するものです。「バンドギャップが場所の関数」となるようにしてフォトニック結晶を作成し、それに対して入出力を行うことによって、より広い範囲での動作を実現するものです。

Number(Issue):5,541,614( July 30, 1996 )
Title:Smart antenna system using microelectromechanically tunable dipoleantennas and photonic bandgap materials.
タイトル:microelectromechanicallyな可変同調型ダイポールアンテナおよびphotonicなバンドギャップ材料を使用している鋭いアンテナ系。
Assignee :Hughes Aircraft Company:
 この特許は、周波数選択的なフォトニック結晶を含む半導体基板上にセグメント化されたダイポールアンテナを形成する。それらのセグメント化されたダイポールアンテナの接続を「MEMSスイッチを切り替える」ことによって、所望のダイポール・アーム長さおよびダイポール共振周波数を選ぶことができるというものです。
フォトニック結晶とMEMSが出会ったアプリケーションということができるでしょう。

Number(Issue):5,600,342( February 4, 1997 )
Title:Diamond lattice void structure for wideband antenna systems.
タイトル:広帯域アンテナ・システムのためのダイヤモンド格子ボイド構成。
Assignee:Hughes Aircraft Company:
 ダイヤモンド格子構造を、アレイアンテナ・システムのグランドプレーンとして使用するというものです。ここで、このダイヤモンド格子構造を反射板としてつかうことによって効率を高めることが可能です。このダイヤモンド構造は周期的な欠陥を有するフォトニック結晶からなっています。

Number(Issue):5,614,919( March 25, 1997 )
Title:Wire diamond lattice structure for phased array side lobe
suppression and fabrication method.
タイトル: フェイズドアレー・サイドローブ抑制および製作方法のためのワイヤーダイヤモンド格子構造。
Assignee :Hughes Aircraft Company:
 この発明はフェイズドアレーアンテナに利用するもので、金属的なメッシュ構造を形成することでサイドローブ抑制が可能になるというものです。そして、このメッシュ構造は、ダイヤモンド格子の炭素原子間のダイヤモンド格子ボンド・リンク構成をエミュレートしているそうです。



  探検隊長より

フォトニック結晶のことを始めて聞いたとき、その名前の通り、光デバイスの一種だと考えていました。
ところが、今回の通信との接点を探るというテーマでは、むしろRFとの強いつながりを感じました。
RFは波長の長い光ですので、あたりまえと言えば当たり前なのですが、
どうも技術者が心の中にもつ領分(壁)の違いか、そのようなフォトニック結晶を応用した
RF関係技術が開発されているということに一種の驚きを感じました。
 このフォトニック結晶を応用することで、アンテナまで含めてRF-SOCが現実
ものとなりえることを確信しました。今後の展開がとても楽しみです。







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2008.11.22 Sat l 特許探検隊分室 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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