昔、犬型のロボット(おもちゃ)を欲しいと思ったことがありました。
犬を飼いたいと思いつつ、それができない状況だったときです。
結局、その時はやり過ごして、2年近く前に、本物のワンコ(犬)を飼い始めました。 飼い始めて、犬型のロボットを買っていてもすぐに飽きていただろうなと悟りました。本物の犬は、2つの目で、まっすぐにこちらを見つめてくるのですが、そこには確かな知性を感じます。感情や反応も多彩です。犬型ロボットにそれを期待するのは酷だと痛感しました。
さて、前書きが長くなりました。
今回のお話は、「脳型コンピュータ」です。
SFでは、「ポジトロン電子頭脳」を持ったAIが暴走して、あーーートンでもないことが起こる!って設定がよくあります。 現実は、そんなところには全く到達していないのですが、色々と興味深いものがあります。
ではでは、はじまり、はじまり。
=================================================
脳型コンピュータは以前、ニューロコンピュータとして研究されていた分野と多くの共通点を持ちます。
宇宙、深海と並んで、フロンティアと呼ばれる領域でもあります。
これらのコンピュータは、人間の脳神経をまねてデータ処理することを特徴としています。実際にハード的にまねているものや、処理のアルゴリズムを真似ているものがあります。
脳の神経の基本素子は、神経細胞(ニューロン)とそれらの神経細胞間の情報をやり取りするシナプスと呼ばれる結合部から成り立っています。
まだまだ、その基本的な処理のメカニズムは研究途上ではあるのですが、ソフトウェアやLSIでその構成や信号処理を真似てみて、メカニズムの研究に役立てていこうという取り組みと、使えるところから使っていこうという取り組みがあります。サイエンスとテクノロジーがまさにそこにあります。
テクノロジーの代表である米国特許の中から、興味深いものをいくつか見ていきたいと思います。
コダックからは、「学習できるカメラ」や使用者の「心理状態を把握」するための特許などが出ています。
DRAMメーカーであるマイクロン社からは歩留まり向上のためにファジーやニューロを用いるという特許が出ています。
米国陸軍からは、「精神的な決定を推定する方法およびデバイス」なる特許が出ています。視線検知、脳波測定、情報表示を行って意思決定を支援する装置のようです。SFに出てきそうな話ですね。
IBMからはコンピュータウィルス検知のためにニューロを用いるという特許やジョブスケジューリングに関する特許が出ています。
ここで、ある特定の特許群に注目して明細書を見ていきたいと思います。選んだのはIBMの約10件の特許群で、技術起源が1990年に遡るものです。
これらが、1992年から1997年にかけて成立しています。
特許の題名は「アプリケーションプログラムのためのニューラルネットワーク・シェル」で全て同一です。分割や継続を繰り返して成立させているところから、重要な特許ではないかと推定されます。
アブストラクトによると、「ニューラルネットワーク・シェルと入出力を行うことによって、いかなるアプリケーションプログラムも、ニューラルネットワーク・アプリケーションプログラムになる」というものだそうです。
「ニューラルネットワークモデルが面白くて理論的に強力であるにもかかわらず、それらは柔軟性がなくて使用するのが困難である。」「ニューラルネットワークの知識を有する非常に熟練したプログラマは、1つのニューラルネットワークモデルの機能を取り入れるために専門アプリケーションプログラムを書き込むことを必要とする。」「これは、明らかに好ましくない人および貴重なプログラム・リソースの浪費である。」とのことで、ニューラルネットワークの機能を備えたプログラムを簡易に得るための環境のようです。アプリケーションプログラムとニューラルネットワークモデルの間をつなぐ機能をもつシェル(プログラム実行環境)を提供することを目的としているようです。
インターフェースを定義することで、「ニューラルネットワーク・シェルと入出力を行うことによって、いかなるアプリケーションプログラムも、ニューラルネットワーク・アプリケーションプログラムになる。」と断言されています。(す、すばらしい!) 特許群全体での総クレーム数は約90です。開示されている内容は、上層にアプリケーションへのインターフェースがあり、その下の階層にニューラルネットワークユーティリティプログラムがあり、そこでネットワークの定義、生成、学習、実行を行うことができます。
そのさらに下層にはニューラルネットワークデータ構造があり、そのさらに下層にニューラルネットワークモデルプログラムがありそこで種々のモデルを利用できるようになっています。ちょうど、OSの階層構造に極めて似ています。というか、ニューラルネットワークをサポートしたOSを作ろうとしているかのように見えます。
アプリケーションを実行する際に、下層の足りないものを順次追加しながら全体としてニューラルネットワーク対応の処理系を自動生成しようとする企てであると思われます。
今、OSのもつソフトウエアの階層構造がどこか1社の特許となっていたら、すごいことだと思うのですが、ニューラルネットワークという枠組みの中でそれを目指す取り組みだと感じました。
犬を飼いたいと思いつつ、それができない状況だったときです。
結局、その時はやり過ごして、2年近く前に、本物のワンコ(犬)を飼い始めました。 飼い始めて、犬型のロボットを買っていてもすぐに飽きていただろうなと悟りました。本物の犬は、2つの目で、まっすぐにこちらを見つめてくるのですが、そこには確かな知性を感じます。感情や反応も多彩です。犬型ロボットにそれを期待するのは酷だと痛感しました。
さて、前書きが長くなりました。
今回のお話は、「脳型コンピュータ」です。
SFでは、「ポジトロン電子頭脳」を持ったAIが暴走して、あーーートンでもないことが起こる!って設定がよくあります。 現実は、そんなところには全く到達していないのですが、色々と興味深いものがあります。
ではでは、はじまり、はじまり。
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脳型コンピュータは以前、ニューロコンピュータとして研究されていた分野と多くの共通点を持ちます。
宇宙、深海と並んで、フロンティアと呼ばれる領域でもあります。
これらのコンピュータは、人間の脳神経をまねてデータ処理することを特徴としています。実際にハード的にまねているものや、処理のアルゴリズムを真似ているものがあります。
脳の神経の基本素子は、神経細胞(ニューロン)とそれらの神経細胞間の情報をやり取りするシナプスと呼ばれる結合部から成り立っています。
まだまだ、その基本的な処理のメカニズムは研究途上ではあるのですが、ソフトウェアやLSIでその構成や信号処理を真似てみて、メカニズムの研究に役立てていこうという取り組みと、使えるところから使っていこうという取り組みがあります。サイエンスとテクノロジーがまさにそこにあります。
テクノロジーの代表である米国特許の中から、興味深いものをいくつか見ていきたいと思います。
コダックからは、「学習できるカメラ」や使用者の「心理状態を把握」するための特許などが出ています。
DRAMメーカーであるマイクロン社からは歩留まり向上のためにファジーやニューロを用いるという特許が出ています。
米国陸軍からは、「精神的な決定を推定する方法およびデバイス」なる特許が出ています。視線検知、脳波測定、情報表示を行って意思決定を支援する装置のようです。SFに出てきそうな話ですね。
IBMからはコンピュータウィルス検知のためにニューロを用いるという特許やジョブスケジューリングに関する特許が出ています。
ここで、ある特定の特許群に注目して明細書を見ていきたいと思います。選んだのはIBMの約10件の特許群で、技術起源が1990年に遡るものです。
これらが、1992年から1997年にかけて成立しています。
特許の題名は「アプリケーションプログラムのためのニューラルネットワーク・シェル」で全て同一です。分割や継続を繰り返して成立させているところから、重要な特許ではないかと推定されます。
アブストラクトによると、「ニューラルネットワーク・シェルと入出力を行うことによって、いかなるアプリケーションプログラムも、ニューラルネットワーク・アプリケーションプログラムになる」というものだそうです。
「ニューラルネットワークモデルが面白くて理論的に強力であるにもかかわらず、それらは柔軟性がなくて使用するのが困難である。」「ニューラルネットワークの知識を有する非常に熟練したプログラマは、1つのニューラルネットワークモデルの機能を取り入れるために専門アプリケーションプログラムを書き込むことを必要とする。」「これは、明らかに好ましくない人および貴重なプログラム・リソースの浪費である。」とのことで、ニューラルネットワークの機能を備えたプログラムを簡易に得るための環境のようです。アプリケーションプログラムとニューラルネットワークモデルの間をつなぐ機能をもつシェル(プログラム実行環境)を提供することを目的としているようです。
インターフェースを定義することで、「ニューラルネットワーク・シェルと入出力を行うことによって、いかなるアプリケーションプログラムも、ニューラルネットワーク・アプリケーションプログラムになる。」と断言されています。(す、すばらしい!) 特許群全体での総クレーム数は約90です。開示されている内容は、上層にアプリケーションへのインターフェースがあり、その下の階層にニューラルネットワークユーティリティプログラムがあり、そこでネットワークの定義、生成、学習、実行を行うことができます。
そのさらに下層にはニューラルネットワークデータ構造があり、そのさらに下層にニューラルネットワークモデルプログラムがありそこで種々のモデルを利用できるようになっています。ちょうど、OSの階層構造に極めて似ています。というか、ニューラルネットワークをサポートしたOSを作ろうとしているかのように見えます。
アプリケーションを実行する際に、下層の足りないものを順次追加しながら全体としてニューラルネットワーク対応の処理系を自動生成しようとする企てであると思われます。
今、OSのもつソフトウエアの階層構造がどこか1社の特許となっていたら、すごいことだと思うのですが、ニューラルネットワークという枠組みの中でそれを目指す取り組みだと感じました。
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