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 製造部門での派遣切りに続くのは、開発部門での派遣、請け負い切り(エンジニア派遣切り)だろう。これは静かに行われるに違いない。
 開発品種の選択と集中の結果であるからだ。
製品ラインアップの絞込み。展開品種の削減。
マザー製品のみを正社員のみで開発することで、正社員の雇用の確保と開発費の削減を実現する。会社の上層部が短絡的に考えそうなことだ。
 ほんの1年足らず前までは、「エンジニアが足りない」とぼやいていた人達が、今度は、その正反対のことに手を染める。
 「苦渋の決断」と誰もが諦め顔だ。
「科学技術立国」という掛け声を誰もが忘れようとする。
それで、本当にいいのだろうか?

 ここで、ひとつの異論を提案したいと思う。
●大学のTLOに国の予算をつけて、開発部門で切られた派遣の人達をバックエンド込みで雇う。
という提案だ。
なお、
TLOはTechnology Licensing Organization(技術移転機関)の略。

 エンジニア派遣を行っている優れた企業は、特定派遣であることが多い。派遣されているエンジニアは、特定派遣の場合は、派遣会社の正社員である。正社員であるので、派遣元の企業で教育を受け、アドバイスをもらえるメンターや先輩社員までがいる。ただ単に顧客側に放り込まれているわけではない。
 「ちょっと、考えてみます。」と言って、派遣先の要望を吸い上げて、バックエンドの人と相談して、最適な方法を考える。その案を、派遣先に提案する。そうすると、「あそこの派遣会社の人は、若いのにできる!」と評判になる。バックエンドの人は非常に重要な役割を果たしている。
 ノウハウは個人に蓄積されるのではなく人と人の間に貯まるのだ。
思い出してみて欲しい。
何かやろうとしたときに、必ず身近な誰かに相談しなかっただろうか?
。。。だよね?とか、あれどうだっけ?
とか。
 開発部門で働いていた派遣エンジニアの人達のノウハウや力を温存するには、バックエンド(にいるベテランエンジニア)込みで考えることが重要なのだ。

 さて、一方、大学の状況を振り返ってみよう。
大学の人達は、先端的な研究は得意だが、製品化や製品化にまつわる泥臭いことは苦手だ。論文や学会発表もできないしね。TLOもあるにはあるが、企業のサポートを積極的に行うには戦力不足だ。

 TLOに予算をつけて、開発経験のあるエンジニアを派遣元のバックエンド込みで、派遣してもらう。これをすれば、事態は一気に好転するように思える。

 研究や、開発は、そこに行って見ないとわからないことが多い。
そのために普通はプロトタイプをつくり問題点を探り、解決策を特許の形で固定化する。そうやって周辺特許を押さえて、技術の土台を確固たるものにしていく。
そのために、彼らは大きな戦力となってくれるはずだ。

 「科学技術立国」の土台作り。まさに、未来につながる「公共事業」だ。

 派遣業界に対するばら撒きにならないようにするには、特許という測定装置を入れるのがよい。派遣費用を値切れば、開発経験の浅い人だけがくるので、その世話が増えて、特許どころではなくなる。
 逆に、開発経験の豊かな人が来てくれれば、大学の研究者は、アイデアを出すことだけに専念できる。

 また、大学の研究者は新しい測定装置を購入するのに熱心だ。
TLOに行った税金が、装置に化けただけというのも、特許(出願)を監視していればわかる。

 私が以前、行った米国特許調査でも、
特許の件数は、日本の大学関係を全て足しても、スタンフォード大学ひとつにもかなわない。
これを、同じレベルまで引き上げる秘策ではないかと思う。

 ご批判、ご意見をお待ちしています。


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2008.12.23 Tue l CNET連動企画 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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