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 前回、6879579特許無線LAN規格との兼ね合いで、「気になる」なーという話をした。
 今回からは、その中身を見ていこう。
 さて、相手は米国特許であり、当然、英語で明細書が記載されている。
翻訳ソフトもあるが、それでは、たいてい、意味もとりずらいところが多々ある。さらに、その技術分野に明るくない時は、なおさらだ。そこで、今回は、この分野の予備知識を入れていくことにする。
 書店やアマゾンなどで、関連書物を買ったり、ネットで調べるというのも手だが、やはりここは特許から調べたい。でも、英語はつらい
 
 いい手がある。。。。
前回、調べた579特許を先行技術として引いている日本特許を見ればよい。
米国特許庁の審査官が「関係あるんじゃないの?」と知らせてくれている特許だ。
しかも、原文は日本語で記載されている。

 それは
7,020,117 Command processing method and radio communication apparatus
assigneeはSony Corporation (Tokyo, JP)
だ。

米国特許庁に行って、ADVサーチで
PN/7020117とやると出てくる。

タイトルは、Command processing method and radio communication apparatus
となっていて、
要約abstractは
「A command processing method for a radio LAN system composed of a plurality of terminals。。」
となっている。
うーん、近そうだ。まずは、これを読んで予備知識を仕入れよう。

日本出願はと見ると、
Sep 19, 2000 [JP] 2002-283847
となっている。
 
 さらに念を入れて
Patent Family Searchでもチェックしてみよう。
URLはここだ。
http://www.ipnewsflash.com/family.php
ここのSearch窓にUS7020117
と入れて検索し、出てきた画面の下の方を見ていくと
JP 2002094529Apublished 20020329
filed 20000919 as JP20000283847
とある。

特許庁の電子図書館の公報テキスト検索
出願番号2000-283847
と検索すると出てくる。
●特開2002-094529 コマンド処理方法および無線通信機器

もしくは公開番号として、
2002-094529 といれてもよい。
published <-> 公開
filed   <-> 出願
の関係だ。

 このソニーの出願の要約を見ると、
(57)【要約】 (修正有)
【課題】 複数の端末と少なくとも一つのベース機器とによって構成される無線LANシステムにおいて、端末から発行されたコマンドの扱いにつき各端末の使用者の間で混乱衝突を生じることがないとともに、端末の使用者がシステムの故障と誤解するようなこともないようにする。
【解決手段】 ベース機器10は、いずれかの端末からのチャンネル変更などのコマンドを受信したとき、当該コマンドが、受信中の他の端末の受信を妨げる競合コマンドであるか否かを判断して、競合コマンドである場合には、当該コマンドを受け付けないとともに、その旨を当該コマンドを発行した端末に通知する。ただし、端末の優先順位が他受信中端末の優先順位より高いとき、あるいは他の端末がコマンドの受付から所定時間以上経過しているときには、当該コマンドを受け付けるとともに、その旨を受信中の他の端末に通知する。」とある。

さーこれを読んでいこう。
手元にPDFで持てればいいなーと思っていると、
検索した結果の上のところに、「文献単位PDF表示」とあって、PDFファイルを入手することができる。
やりますねー。特許庁! (かゆいところに手が届いてますよ。パチパチ。)」という気分だ。

さて、先の要約の太字のところが把握するべき概念だ。
キーワードを拾っていくと、
端末、ベース機器、無線LAN、コマンド、競合コマンド、受け付けない、通知、優先順位、指定時間
というところだろうか。
 なかなか、よくできた要約だと思う。(他の明細書では何をいいたいのか分からない要約も多々ある。意図的にそうしているとしか思えないものもある。)

 うーん。出だしからして読みやすそうな明細書だ。
まずは、
【発明の詳細な説明】をみる。
「この発明は、無線LAN(Local Area Network)システムのコマ
ンド処理方法、および無線LANシステムを構成する無線通信機器に関する。」

そうそう。知りたいのはそれです。
読み進めると、
「住宅内や部屋内のいずれの場所に居ても、手元の端末によって、地上波TV(テレビジョン)放送やBS(放送衛星)/CS(通信衛星)デジタル放送の視
聴、インターネットへのアクセス、電話の通話などをを行うことができる。」
とある。それそれ!と言いたくなる。
先を読んでいくと、チャンネル争いの調整の手段のようだ。チャンネルの設定がコマンドの例だ。
ここでチャンネルとは、まさにTVのチャンネルを意味している概念のようだ。
 要約を読んだ時点では、無線LANのチャンネルのことだと思ったのだが違った。
このチャンネル争いを調整、交通整理をするために「ベース機器」なるものを用意しようという発想のようだ。(オカーチャンの一声?)
 その交通整理を行うための指標として、優先順位時間競合性を考慮しようとするものだ。
シンプルかつ分かりやすい。こういうのを規格に乗せるべきなんだろう。
また、特許として見た時は、成立した場合は、シンプルで分かりやすく、誰もが考えそうなものの方が強い。逆に、成立させにくいとも言えるが、成立させることができれば強い。
担当エンジニア、知財担当者、弁理士の腕(と根性?!)が問われる部分だ。

 しかし、注意する必要があるのはこの日本語明細書は、出願公開の時点のものである点だ。どれだけ、実効的な特許権(クレーム)が取得できたかは別の話だ。

次回に続く。

ブログサイトにも載せました。

門 伝也 (もん でんや)


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2009.04.05 Sun l 無線LAN l コメント (0) トラックバック (0) l top

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