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 第1回目の特許探検隊で、MEMSの調査をお送りしましたが、その中で注目に
価すべきベンチャー企業と思われるものがいくつかありました。
 今回、その中でS社を紹介させていただきます。



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 S社というのは、非常に個人的色彩の強い会社です。S氏と呼ばれる方が創られた研究所です。このS氏のキャリアを筆頭発明者別の分類を通して見ていくと、この方の足跡が見えてきます。

 まず、優先年別表示を用いて技術起源を見ていくと、だいたい1990年頃から活動を開始されているようです。最初の頃は、カメラメーカーC社のオーストラリア法人で働いておられたようです。そして1995年頃に、フィルムメーカーK社に転職されたようです。 その後、1997年前後に自分の名前を介した研究所を会社として設立されました。以上が発明者別の分類集計から推定できることです。

 この人の名前を介した会社を調べてみようと思った動機は、MEMS特許の中で非常に特徴的な動きをしていたからです。インクジェットプリンターの特許で、ここつい最近、2000年、2001年に成立している特許が極めて多く、200件に迫ろうとする勢いです。
 今までいろいろと特許調査を行ってきたのですが、これだけすごい勢いで、特許を成立させている人や企業を見たことがありません。しかも非常に限られた特化した分野に対してです。

 次に筆頭米国分類優先年集計を用いて、この人(この会社)が、どういうことを具体的に取り組んでこられたかということを見て行きたいと思います。
 まず、90年から95年くらいまで(第1期)の仕事というのは、だいたいにおいて、筆頭米国分類345番、コンピューターグラフィックスプロセッシングというコンピュータグラフィックス関係のところに分類されています。そして次に、第2期というのが、95年頃から98年に技術起源を持っている技術なんですが、これは、米国分類216番、エッチングサブストレートのところや、347番インクリメンタルプリンティングというところにもっぱら分類されています。
 それから、米国分類400番、タイプライティングマシンズというところにも入っております。この形からだいたいどのような技術的な流れをたどって来られたかを想像すると、まずコンピュータグラフィックス関係をやられてから、インクジェットプリンターヘッドを対象とした、MEMS関連の活動を開始されたと思われます。そしてそれらの技術を元に、97年頃に自分の名前を入れた会社を起こされた、ということが推定されます。

 では、この自分の名前を冠された会社ができた以降に技術起源を持つ特許にどのようなものがあるかを見て行きたいと思います。

 ほとんどがンクジェットプリンター及び、インクジェットプリンターのヘッドに関する特許や技術です。しかし、非常に細かく、また多肢に渡って特許を成立させておられます。かなりパテントマップを作ってやっているんじゃないかと思うほど、非常に多いです。100件以上です。
 タイトルだけをざっと紹介していきますと、インクジェットプリンターのメカニズムとかアクチュエータの関係、使い捨てデジタルインスタントカメラに関する特許などもあります。
 それから、インクジェットプリンターの製造方法、磁気を用いたものも考えられているようです。ヘッドの構造と、あとそれをどのように使うか、というところまでいろいろな特許を成立させておられます。
 プリンティングのメカニズムについてもあります。マグネトレジスティブ、磁気抵抗効果を使ったインクジェット方式の印字方法というのも散見されます。かなり磁気がキーワードとして持っているものが多いです。
 それから、最近多いのは、マイクロエレクトロメカニカルシステム、最初に言いましたMEMSの技術を用いて、いろいろなヘッドの構成やインクジェットのシャッターなどがあるようです。特に1990年から2000年に関しては、非常にMEMS関係の特許が多く考えられているようです。

 次に発明者別集計を見て行きますと、この人がやられている会社の規模が推定できます。発明人口は、だいたい6名くらいです。そして、そのS氏が筆頭である発明がほとんどです。非常に個人的色彩の強い会社です。

 では、次にこの人の特許の中で、非常に目を引いたものがありまして、それについて紹介していきたいと思います。
その特許は、2001年に成立している特許なんですが、まず、びっくりしたのが図面の数が103図もあり、図面のページだけで何と、A4で77ページもあります。なかなかこんなに図面の多い特許は、見たことがありません。この図面をざっと見て行きますと、MEMS構造を用いたと思われる構成図、断面図などもありますし、あとそれを制御していると思われる回路図もあります。そして、注目したいのは、MEMS構造を用いたインクジェットヘッドをアレイ状に並べた構成が開示されています。普通、プリントヘッドというのは、アレイ状ではなく、横一列に並んでいるだけかな?と思ったのですが、これはそうではなく、極めてアレイ状に並んでおります。そして、アレイの並べ方にも特徴があるようです。斜めに並べてみたり、いろんなアイディアを提示されております。

 この人は、有名なカメラメーカCで働いた後、有名なフィルムメーカKに移られ、そして最後に自分の名前の入った研究所を起こされたわけですが、技術者として考えた場合、面白いというか、感銘を受ける生き方をされているのではないかと思われます。そして、特許を100件、200件と成立させようと思えば、非常に資金力がいります。当然、ベンチャーを設立した時に、出資提供を受けたりされておられるんじゃないかと、想像されます。また、一般のサージエンジンで検索していきますと、有名なフィルムメーカが、この会社に対して研究依頼を出しているような、そんな形跡も窺えます。
 そしてもう一つ注目していることは、97年以降に技術起源を持つ特許を、2001年に、ほとんど一斉にと言っていいくらいに成立させています。これは、特許の原則から言いますと、ちょっと早い。この特許の原則と言うのは、「ブタは肥らせてから食え」というものです。即ち、市場が熟すのに合わせて特許を成立させて行って、そこで市場に対して、特許の権利交渉を行っていくというのが、一つの常套手段になっております。ところが、この人はどちらかと言うと、先に一気に特許を成立させてしまっている、ということになります。これは、ここからは完全な想像なんですが、技術供与とかをして、自分のアイデア(特許)を世の中のいろんな人に使っていってもらいたい、という思いを感じます。いわゆる、特許料だけを請求するんじゃない、何か技術者としての想いを、先ほど言いました103枚の図面などからも感じます。机上の空論ではなく、いろいろ実験などもされているようで、明細書の中には、非常に細かなデータの開示があります。私も技術者のはしくれですので、こういった点でも、非常に感銘を覚えます。



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  探検隊長より

このブログを読んで頂いてる方の中にも、若いエンジニアの方が多くいらっしゃると思うのですが、
世の中には、こういう生き方もあるもんだということを覚えておいて頂ければ、非常に嬉しいです。
 技術者とは、自分の夢を実現できる良い職業であると思います。その実現するた
めの手段として、最後には、自分の会社を作る。いろんな会社で技術を積んで、磨
いて深めて行って、そして最後には、技術を供与するための会社を作る。これは一
つのロマンであると思います。




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2008.11.17 Mon l 特許探検隊分室 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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