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「特許侵害:ITCがハイブリッド車めぐりトヨタの調査開始」(毎日新聞)
 
 次はトヨタのハイブリッドに乗りたいと思っている筆者にとっては他人事ではないニュースだ。
「訴えているのはハイブリッド技術を扱うペイス社」(毎日新聞)とある。
ペイス社について調べてみたくなる。もちろん米国特許を通してだ。
 とはいえ、スペルが分からないことにはスタートできない。ITCのホームページからスペルはPaiceであることが判明した。
http://www.usitc.gov/press_room/news_release/2009/er1006gg1.htm

 検索をかけると特許の件数は10件程度だ。
発明人口はわずかに2人。筆頭発明者にいたっては1人だ。
この筆頭発明者をS氏と呼ぶことにする。

 筆頭米国分類を見ると、わずか3つに集約されている。
CCL/180/65.23、
CCL/180/65.27、
CCL/180/65.28
の3つだ。

 トヨタのこの米国分類における特許件数はどうなっているのだろうか?
調べてみると、























 米国分類  Paice  TOYOTA
 CCL/180/65.23  5件  4件
 CCL/180/65.27  1件  64件
 CCL/180/65.28  4件  87件

となっている。
CCL/180/65.23はトヨタの弱点なのだろうか?


米国分類の定義を見てみる。
ちょっと長くなるが、米国特許庁にある定義を引用する。
65.23 Switching type (IPC):
This subclass is indented under subclass 65.225. Subject matter wherein a series or parallel drive mode can be either selected by a user or is changed automatically.
これは65.23が62.225の下位分類と言っている。
65.225 Series and parallel (IPC):
これも、65.22の下位分類だ。
65.22 Specific vehicle architecture (IPC):
これもまた65.21の下位概念とのことだ。
65.21 Hybrid vehicle
とハイブリッドカーがようやく現れた。

 逆に読んでいくと、180/65.23は、ハイブリッド車で車のアーキテクチャーに関するもので、直列と並列を切り替えるもので、直列にするか並列にするかをユーザーが選択できるか自動切換えが可能なタイプということになる。

 ここまで読んでハット記憶がよみがえった。
「初代のプリウスは軽自動車に抜かれた」という逸話だ。
初代のプリウスが出たときにディーラーを訪ねたら、営業マンはあまりお勧めではないという気配だった。要するに「加速が悪い」という話だった。
 その後、プリウスは大きな進化を遂げた。
「ハイブリッドシナジードライブ」というコピーだ。
加速が必要なときに、エンジンとモーターが協調して加速を生み出すあれだ。それを聞いた時は、また、欲しいと思った。プリウスの室内高がもう少しあったらきっと衝動買いしていただろう。(いや、財布がついていかなったかな?)

 米国分類180/65.23ってまさかそのこと?
その技術分類で、PaiceはTOYOTAと互角なのか?
そんなはずはないだろう?!
いやー、分類コードの問題だけで、
CCL/180/65.27とかCCL/180/65.28に同等のものが入っているんじゃないか?
順番にやっていこう。トヨタの調査はこの次だ。

これは真剣に調べないといけない。。。。な。。。

 特許は群れを作る。群れを作ることで進化し、強くなる。群れ解析をやってみて愕然とした。Paiceの特許は群れがひとつしかないのだ。ひとつの特許を分割して10の特許となったようだ。

 さらに権利はクレームに宿る。
クレーム数の集計を行って、またびっくりした。
わずか10件の特許で総クレーム数が650近い。
その中でも7237634特許はなんと300を越えるクレームを抱いている。独立クレームは少なそうだが、それにしても300はすごい。
鬼気迫る執念を感じる。
 先行技術の引用数もただものではない数が並んでいる。
それら全てに反証して、特許をもぎとったということだ。
先行技術のリストを見ていると、日本勢のものも散見される。
特許取得段階から戦争があったと言えるだろう。

http://www.business-i.jp/print/article/200909050088a.nwc
によると、
 「ペイスは2005年にも、同社特許を利用したトヨタのハイブリッド車、「プリウス」、「ハイランダー(日本名クルーガー)」、「レクサスRX400h」の特許侵害をめぐり、民事訴訟を起こした。ペイスの訴えが認められ、トヨタには430万ドル(約3億9000万円)の損害賠償が命じられたが、販売差し止め要求は却下された。」
とのことだ。
 でも、この特許群では、出願、特許権利化、訴訟費用を考えると3億円程度はあっというまに吹っ飛んでしまっているんじゃないかとS氏に同情的にもなる。よくある「儲かったのは弁護士だけ」の世界か。

 ちなみにS氏を発明者とする特許はさらに10件程度ある。そのうちのいくつかには、譲受人がいない。
そう、発明者が手元に残している特許がまだあるようだ。
これらについては次回また調べようと思う。

 なんだか、映画のシナリオが書けそうな話だ。

元エンジニアとして、トヨタ車のユーザーとして、
ハイブリッドカーを欲しいと思っているものとして、
トヨタを応援している。

頑張れトヨタ!

門 伝也(もん でんや)
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また、今回のブログを書くにあたって作成した中間データを筆者が管理するポータルサイトに置いています。ぜひ、合わせてご覧ください。
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2009.10.10 Sat l ハイブリッドカー l コメント (0) トラックバック (0) l top

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