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 前回は、トヨタをITCに提訴したペイス社の特許について調べた結果を報告した。
今回は、そのペイス特許群の唯一の筆頭発明者であるS氏の特許について調べた。
 なお、ブログに先立ち動画版を作成してアップロードしている。
URLは
http://www.youtube.com/watch?v=JZtW2eOr770&feature=channel
だ。ご覧いただけると嬉しい。

 S氏の特許群を解析して以下の点が明らかになった。
●サラリーマンからベンチャーを起業されたようだ。
一人発明者の時代に技術の種を仕込んだ。
●電力変換技術から電気自動車関連へと重心を移動。

 S氏はV社でサラリーマン時代をエンジニアとして過ごした。
電力変換関係、DCコンバーターなどを開発されていたようだ。
1987年から1989年ごろのことだ。

 当時の連名発明者には、Rさんが2人いる。
ちゃんと同僚がいるエンジニアだったようだ。

 そして、1990年ごろに起業。
個人発明家の時代だ。このときは発明者は一人。すなわち、自分だけだ。
技術の種の仕込み時期だ。
先発明主義を採る米国では、この頃を、発明が為された時期であると判断される可能性もある。
今から、20年近い過去だ。戦うトヨタ側としては嫌な数字だ。

 1997年頃、ペイス社を創業。
ハイブリッドカーに集中して特許対策を行っている。
他の分野では一切特許的な活動がない。そして、それ以降も特許らしい特許は出ていないようだ。
執念をむき出しにして一人の男が特許明細書を練りに練っている。
そんな姿が目に浮かぶ。

 さらにAssignment queryを使って権利移動を確認してみると、
かなり複雑な動きをしている。
 権利が移動できるということは、その特許に価値があると認める人たちがいるという証だ。
価値がないと誰もが思う特許は、誰も買わない。
S氏を買っている、認めている人たちがいて、お金を出している。
 
 また、V社時代の特許は、最終的には、スマートグリッド関連企業に移っているようだ。
これも詳しく見る価値があるかもしれない。

 資金調達のためだろうか?
特許が複数の個人と思われる人たちに譲渡されている。
担保?出資の見返り?
ところが、特許の管理の窓口は依然、ペイス社だ。
これはうまいやり方かもしれない。
お金を出す側にとって、ペイスがつぶれてしまっても特許が残る。
単なる出資だったら、株は紙くずになるだけだ。

 S氏についての筆者の個人的な感触は、
敵にするよりは味方にしたい」タイプだ。
アメリカンドリームを体現するべく、脱サラ起業だ。
一人で黙々と技術開発。名前のスペルからみると、移民系かもしれない。
裁判の時、陪審員の心を打つ言葉を弁護士はつむぎ出せたはずだ。
 でも、味方にするのは難易度が高そうだ。
お金を出している人がたくさんいそうだからだ。

次回は、「トヨタエンジニアとS氏の攻防」を特許から探ってみたい。
お楽しみに。

門 伝也(もん でんや)
ブログサイトにも載せました。

また、今回のブログを書くにあたって作成した中間データを筆者が管理するポータルサイトに置いています。ぜひ、合わせてご覧ください。
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2009.10.23 Fri l ハイブリッドカー l コメント (0) トラックバック (0) l top

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