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 今回の調査ではもっぱらCMOSイメージセンサーの応用面を探ってみよう。
特に医療関係が、値段の買い叩きもなさそうで、興味深い。
米国分類600番台あたりを見ていくことにする。

 カプセル内視鏡というものがある。カメラそのものを飲み込んでしまって、
そのカメラが消化器官の中をえんやらと旅している間に写真を撮ってしまおうというあれだ。
これがあれば、あの耐え難い苦痛を与える胃カメラチューブが必要なくなるというものだ。
 そのカプセル内視鏡関係の企業名を見ていくと、日本勢ではやっぱりオリンパスだ。
オリンパスのカメラを愛用している筆者としてはちょっと嬉しい。頑張って欲しいと思う。
 他のカメラメーカーとしては、ペンタックスの特許が少しだがあるようだ。

 聞きなれない名前では、Given Imaging という企業が気を吐いている。
検索すると簡単に見つかって日本語のサイトまである。
そのサイトによると1998年に設立された、イスラエルに拠点がある企業のようだ。
日本法人もあるとのことだ。
 「消化器領域において、世界標準として認知されている」とのことだ。
ここのホームページの入り口には、二つの大きな入り口がある。
ひとつは、「患者様へ」と書かれたページだ。
患者への負担が少なく、これまで困難であった、小腸系の病気の早期発見もできると記載されている。
 もうひとつの入り口は、「医療関係者の方へ」と書かれている。
実際の製品を選ぶ人たち向けの入り口だ。
 この「患者様へ」という入り口があることに、妙に好感が持てる。
イスラエル企業も商売がうまそうだ。
 こういう企業を発見できることも米国特許調査の面白さのひとつだ。

 
 ところで、え"っと、声をあげそうな企業名としては、Xilinxがある。
そうFPGAのザイリンクスだ。FPGAとはチップ内部の論理を後から何度でも外から書き込める万能半導体のことだ。
 アブストラクトを見ると、内視鏡から得られる画像を加工して、異常な組織を色などを変えて表示できるようにするものらしい。医者が実際の画面を見ながら、内視鏡を操作し、それに合わせて画像を加工、疑いのある領域を目立つようにする。そのためにはソフトウェアでは荷が重いので、ハードで行うということなんだろう。特許的にはシステム特許のようだ。
この医療用途には他社のFPGAは使わせないぞっというメッセージに聞こえる。
このように、半導体などのデバイスや素材の研究者、開発者が最終的なシステムをイメージして、実際の業務を行い、それを特許としてまとめるのはこれからますます重要になるだろう。
 FPGAのマーケットとしても、割高でも許される医療用途はおいしいに違いない。

 半導体メーカーで言えば、インテルからも、この600番関連特許が出ている。
ステレオ視イメージセンサーだ。ポイントは、一つのチップを用いていることのようだ。
確かに、内視鏡のように基本的に超マクロ撮影しか行わないものでは、ステレオ視を行うにしても、右目画像撮影と左目画像撮影は、ほんとにすぐ近くで行っていいはずだ。突き詰めると1チップで右目と左目の役割をするのがよい。これなんか、ミクロの決死圏(古い?!)的に、小さな医療ロボットを作るのにいいのだろう。マジックハンドがついていて、人体の外にいる医師がステレオ画像をみながら、腫瘍を除いていくわけだ。夢を感じるなこれ。

 さらにマイクロンよ、君もかい?という具合に特許がある。
画像を撮像するための制御プログラムを、画像データとして入れてしまおうというものだ。
カプセル内視鏡に応用すれば、胃を過ぎたあたりで、プログラムやパラメーターを変更して腸用にできたりするのだろう。赤外線なら、消化器まで届く気がする。無線に必要なパーツやアンテナを装備しなくてよく、より小さなカプセル内視鏡ができそうだ。
水なしでも飲める大きさならありがたい。小さければ、数粒飲めるし、どれかはちゃんと書き換えがうまくできるだろうから、書き換え確認のシステムも不要になる。シンプルイズベストだ。

 ベンチャー系では、歯の形を3次元でレーザーを使ってキャプチャーしようという動きもあるようだ。2007年の2月に特許出願がなされ、2009年の8月に特許が成立している。
なんともホットな話だ。歯医者さんの初診の際にレントゲンを撮られるが、
レーザーになって3D撮影なら、X線被爆の心配もないし、歯の形の劣化も3Dで記録できる。
ゆくゆくは歯の3Dデータを患者さんに渡す時代が来るかもしれない。

 また、興味深い応用としては、脱毛機器への応用がある。
レーザー脱毛の話なのだが、イメージセンサーと組み合わせてレーザーを制御することで、
素人でも確実で安全な脱毛処理を実現できることを狙っているようだ。
この場合、手ぶれなどを考えると、CMOSイメージセンサーの高速撮像能力が生かせそうだ。
マーケットサイズも若い女性の数だけはありそうで、かなり大きい。
女性の美への追及は、景気が悪くても衰えないということを聞いたことがある。
まじめに考えていいマーケットだ。レーザーとセンサーをモジュール化して、美容機器メーカーに販売すればよい。特許でポイントをうまく守ればかなり、おいしい世界だ。
これも、デバイス屋がデバイスを見ているだけではカバーできず、応用も含めて考えないといけない例だ。そしてそれを特許で守る。

門伝也(もん でんや)
ブログサイトにも載せました。
続きはPDF文庫で


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2010.01.25 Mon l CMOSイメージセンサー l コメント (0) トラックバック (0) l top

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